1986 Fiscal Year Annual Research Report
エナメル質形成機構の進化とその生物学的意義に関する研究
Project/Area Number |
60440084
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Research Institution | The Nippon Dental University |
Principal Investigator |
須賀 昭一 日本歯大, 歯学部, 教授 (50060405)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
青木 春美 日本歯科大学, 歯学部, 助手 (50150925)
小川 正明 日本歯科大学, 歯学部, 助手 (40095097)
高橋 学 日本歯科大学, 歯学部, 講師 (00095176)
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Keywords | エナメル質 / エナメロイド / 進化 / 石灰化 / 歯 / ストロンチウム / フッ素 / 鉄 |
Research Abstract |
1.魚の歯のエナメロイド中の微量元素と魚の系統との関係:従来から行われて来たこの研究については本年度は硬骨魚の中でも最も原始的なグループであるニシン目(Clupeiformes),サケ目(Salmoniformes),モルミリス目(Mormyriformes),ウナギ目(Anguilliformes),オステオグロッサム目(Osteoglossiformes)の魚について、そのエナメロイド中のフッ素(F)と鉄(Fe)の定量分析をエレクトロンマイクロプルーブによって行った。その結果、特にフッ素含量は系統によって明瞭に異なることがわかった。即ち、ニシン目,ウナギ目では2.0%以上であるのに対してモルミリス目,オステオグロッサム目では0.3%以下である。それは環境水の種類とは全く関係しない。また、サケ目の一部ではエナメロイドは退化的であるにもかかわらず、歯冠表面でのフッ素の含量は高い。以上からエナメロイド中のフッ素含量は魚の系統発生(phylogeny)と関係するというわれわれのかねてからの考えが裏付けられた。 2.実験的に起させたエナメル質の形成障害の観察:正常条件の下では見出されない様な歯質形成のメカニズムを病的条件下で見出そうとするのがこの観察の目的である。現在までストロンチウム(Sr)とフッ素(F)の経口投与によるエナメル質成熟期での石灰化障害の観察をマイクロラジオグラフィー,テトラサイクリンラベリング法,それにエレクトロンマイクロプルーブにより検索した。ストロンチウムによってはエナメル質石灰化の初期,末期での石灰化の抑制が強いが、中期でのそれはあまり障害されない。それに対してフッ素によっては初期段階での石灰化は亢進されるが、中期以降では全体的な遅延が起る。これによって成熟期内の段階によって石灰化進行のメカニズムの内容が異なることがわかる。また、鉄沈着のメカニズムについて知見が得られた。
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[Publications] Shoichi SUGA et al.: Eds Fluoride Research 1985.Studies in Environmental Science,Vol.27 1986 Elsevier Science Publishers B.V.,Amsterdam.285-297 (1986)
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[Publications] Shoichi SUGA et al.: J.Dent.Res.65(Sp Iss). 733 (1986)
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[Publications] Harumi AOKI;Shoichi SUGA: J.Dent.Res.65(Sp Iss). 833 (1986)
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[Publications] 青木春美,須賀昭一: 歯基礎誌.