1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
60440085
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Research Institution | TOKYO MEDICAL AND DENTAL UNIVERSITY |
Principal Investigator |
佐々木 哲 東京医科歯科大学, 歯学部生化学, 教授 (80013803)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 ミチ子 東京医科歯科大学, 歯学部生化学, 技官 (80171255)
下川 仁弥太 東京医科歯科大学, 歯学部生化学, 助教授 (80014257)
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Keywords | 象牙質 / 石灰化 / リンたんぱく質 / オステオネクチン |
Research Abstract |
象牙質中の非コラーゲン性成分にはホスホホリンとよばれる象牙質に特有なリンたんぱく質のほか、オステオンネクチン、プロテオグリカンなどが存在するので、それらの化学構造や性質の特徴を調べてきている。これらの成分は石灰化との関連も示唆されている。我々は60、61、62年度の研究でかなりの成果をあげてきているが、さらに詳しく生理的機能を解明することを目的として、主にこれらに対する抗体を使って分布や生合成について調べた。それらの概容は以下のごとくである。 1)ホスホホリンの象牙質内分布については、乳歯と永久歯および歯冠部、歯根部に分けて分析すると、量的な違いが認められた。この結果から、象牙質形成機序に時期的、部分的に異なった過程の存在の可能性が示唆された。また象牙質形成不全症ではI型でもII型でも組織化学的にホスホホリンは検出されなかった。これら2型の疾患ではともに象牙芽細胞の分化の過程に障害をもつことが推測された。 2)ホスホホリンに対するモノクローナル抗体を作成し、象牙芽細胞を放射性リン酸を含む培地中でインキュベートしてつくられたたんぱく質を、この抗体を用いて同定したところ、ホスホホリンの生合成が確認された。また象牙芽細胞から抽出したmRNAを使った無細胞翻訳系でもこの合成が認められた。 3)オステオネクチンについては、象牙質から抽出精製し抗体を作成した。象牙芽細胞のmRNAからつくったcDNA群をこの抗体を使ってクローニングして、オステオネクチンのcDNAを分離し、塩基配列からSPARCと同一の分子であることを確かめた。また抗体を用いた方法で、各種の組織での存在を明らかにした。 以上の成果により、象牙質形成の過程で非コラーゲン性成分が組織発生、分化、石灰化の調節などに機能している可能性が明らかにされた。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] 佐々木哲: 季刊"The Bone". 1. 37-42 (1987)
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[Publications] Y.Takagi;H.Nagai;S.Sasaki: Calcif.Tissue Int.42(2). 97-107 (1988)
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[Publications] 佐々木哲: 蛋白質核酸酵素 臨時増刊. 33(12). 2324-2331 (1988)
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[Publications] K.Harada;S.Oida;S.Sasaki: Bone. 9(3). 177-183 (1988)
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[Publications] 下川仁弥太,荊木京未,鈴木ミチ子,田村正人,佐々木哲,森山啓司,下川伶子,土井豊: 日本骨代謝学会雑誌. 6(1). 34-40 (1988)
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[Publications] 下川仁弥太,荊木京未,田村正人,佐々木哲: 日本骨代謝学会雑誌. 7(1). 21-25 (1989)
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[Publications] Y.Takagi;H.Shimokawa;M.Suzuki;H.Nagai;S.Sasaki: "Proceeding of the Third International Conference on the Chemistry and Biology of Mineralized Tissues,Chatham,Massachusetts Immunohistochemical localization of α 2HS-Glycoprotein" (1989)
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[Publications] H.Shimokawa;Y.Ogata;S.Sasaki;M.F.Young;J.D.Termine: "Proceeding of the Third International Conference on the Chemistry and Biology of Mineralized Tissues,Chatham,Massachusetts cDNA Cloning and amino acid sequence of bovine amelogeni" (1989)