1985 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
60440088
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
岩久 正明 新潟大学, 歯, 教授 (70013927)
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Keywords | 2次ウ蝕 / 嫌気性菌 / Metronidazole / α-TCP |
Research Abstract |
従来、ウ蝕病巣中の細菌の種類については、特に嫌気性菌の培養の方法が困難な事から、充分な研究が行われてこなかった。ところが、共同研究者の星野により、嫌気性菌培養が効果的に行える方法が開発され、その研究によって、ウ蝕象牙質病巣では偏性嫌気性菌が圧倒的多数を占めることが明らかにされた。 そこで、薬物的効果によるウ蝕の再発予防のために、特に嫌気性菌に対する生育阻害作用が強く、口腔領域では、現在一部歯周疾患治療などに試用されているMetronidazole(2-methyl-5-nitroimidazole-1-ethanol)に着目し、α-tricalcium phosphateに本剤を加えて、polyacrylic acidで練和硬化させる新裏層用セメントを試作し、以下の研究を行った。 1.象牙質ウ蝕を有する人新鮮抜去歯に感染象牙質を残して本材料を充填し、術前、術後に採得した感染象牙質中の嫌気性菌の動態を調た。 2.人口腔内のウ蝕歯象牙質ウ蝕病巣中より採得した感染象牙質に本材料を加え、術前、術後の嫌気性菌の動態を調べた。 3.人口腔内で、象牙質ウ蝕を有する歯牙から術前、本材料塗布1日後および約1カ月経過後の、同一歯牙、近接部位から感染象牙質を採得し、それぞれの嫌気性菌の動態をヂべた。 以上の結果から、α-TCP・MNセメント使用前に比べて、使用後の方が、また、metronidazoleを含まないα-TCPセメントに比べて、α-TCP・MNセメントの方が、圧倒的に生存菌数が少なかった。α-TCP自体は特別の抗菌作用がみられないため、metronidazoleは、象牙質病巣中嫌気性菌に対して強い殺菌効果がある事が示唆された。今後、本セメントを一般保存治療に広く応用することにより、万一感染象牙質が取り残されても修復物下でのウ蝕の進行は阻止され、また2次ウ蝕発生の予防や歯内療法下での感染根管処置用など極めて有効な術式の開発が期待される。
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Research Products
(1 results)