1986 Fiscal Year Annual Research Report
細胞工学的手法を用いた活性高分子物質の細胞内導入による疾病細胞の治療の基礎的研究
Project/Area Number |
60440096
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
内田 驍 阪大, 国立大学(その他), 教授 (40029781)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河野 憲二 大阪大学細胞工学センター (50142005)
目加田 英輔 大阪大学, 細胞工学センター, 助手 (20135742)
金田 安史 大阪大学, 細胞工学センター, 助手 (10177537)
山泉 克 大阪大学, 細胞工学センター, 助教授 (70107093)
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Keywords | 高分子物質 / 細胞内導入 / 活性ペプチド |
Research Abstract |
細胞レベルでの疾病細胞の治療をより効果的に行うために、細胞の大部分の酵素が存在しすべての細胞内小器管と接触できる細胞質液や遺伝子の場である核へ高分子物質を効率良く導入する方法が開発された。リポソームや赤血球膜にDNAや900K以上ある蛋白質を包み込むことができるようになり、この巨大高分子を包んだ小胞膜にHVJを加えて保温して細胞に加えると、すべての細胞にDNAの一時的発現や導入された蛋白質が観察された。さらに細胞質から核へ蛋白質を入れるために、アミノ酸11個からなるCys-Pro-Lys-Lys-Arg-Lys-Val-Glu-Asp-Proを合成して任意の蛋白質に結合させたところ効率良く核内への移行がみられた。こうして生きている細胞内の細胞質又は核へ自由に高分子物質を導入することが可能になった。又核たんぱく質の核内移行をレクチンの1つであるWGAを注入することで阻害することも明らかになった。ジフテリア毒素耐性細胞より毒素の標的分子であるペプチド伸長因子2(EF-2)の毒素耐性EF2遺伝子が分離された。この変異部位も明らかになり、さらにこの遺伝子を細胞へ導入すると毒素耐性を獲得した。これは任意の遺伝子の細胞への導入に際してシャープな選択マーカーとしても利用できる。遺伝病の1つであり、紫外線照射によるDNA損害を修復できない色素性乾皮症A群細胞の欠損蛋白因子を、高分子物質の細胞内導入法を用いて正常組織から2000倍以上精製された。細胞外から細胞内へ蛋白質によって毒性ペプチドを送り込むために、ジフテリア毒素のC末端側約20Kについてさまざまな5ヶ所について20-25個のアミノ酸からなるペプチドを合成し毒素作用の阻害をみたところ、C末端S-S結合を含むペプチドが毒素作用を阻害した。このことから毒素の細胞内への侵入部位が明らかになると共に、融合遺伝子を作る際にどの部位迄毒素を利用するのが良いか明らかになった。以上当初の予定通り順調に研究は進展している。
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[Publications] Tsuntoka,M.;Imamoto,N.;Uchida,T.: J.Biol.Chem.261. 1829-1834 (1986)
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[Publications] Yamaizumi,M.;Sugano,T.;Asahina,H.;Okada,Y.;Uchida,T.: Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.83. 1476-1479 (1986)
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[Publications] Takamatsu,K.;Uchida,T.;Okada,Y.: Biochem.Biophys.Res.Commun.134. 1015-1021 (1986)
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[Publications] Kohno,K.;Uchida,T.;Ohkubo,H.;Nakanishi,S.;Nakanishi,T.;Fukui,T.;Ohtsuka,E.;Ikehara,M.;Okada,Y.: Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.83. 4978-4982 (1986)
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[Publications] Wataya-Kaneda,M.;Kaneda,Y.;Sakurai,T.;Sugawa,H.;and Uchida,T.: J.Cell Biology. 104. 1-7 (1987)
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[Publications] Yoneda,Y.;Arioka,T.;Imamoto-Sonobe,N.;Shimonishi,Y.;Uchida,T.: Exp.Cell Res.(1987)
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[Publications] Yoshimori,T.;Uchida,T. ed.by A.J.L.Macario;E.C.de Macario: "Monoclonal antibodies against bacteria,vol.III" Academic Press, 346 (1986)
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[Publications] Uchida,T.ed.by F.Dorner;J.Drews: "Pharmacology of Bacterial Toxins" Pergamon Press, 748 (1986)