1985 Fiscal Year Annual Research Report
末梢および中枢化学感受性システムによる階層性血液化学情報処理機構と摂食調節
Project/Area Number |
60440097
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
大村 裕 九州大学, 医, 教授 (30019517)
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Keywords | 摂食行動調節 / 視床下部外側野 / 視床下部腹内側核 / 内因性摂食調節物質 / 2-DTA / 3-DPA / グルカゴン / カルチトニン |
Research Abstract |
摂食行動や生体の代謝調節機構は視床下部に存在する血液化学情報をモニターする化学感受性ニューロン群を中心とする神経回路網により神経性および体液性に調節されている。本年度は内因性摂食調節物質の作用機序を視床下部脳切片標本を用いて単一ニューロンレベルで解析した。内因性摂食調節物質としては、われわれが絶食ラット血中に同定した、2-DTA(摂食抑制物質)、3-DPA(摂食促進物質)、グルカゴンおよびカルチトニンなどについて、膜電位、膜コンダクタンスの変化を指標として解析した。視床下部外側野(LHA)のニューロンに対し、2-DTAは膜を過分極させるが、その際膜コンダクタンスの変化は認めなかった。多連微小電極法を用いた急性実験でも、2-DTA投与による放電活動の抑制が、ウッドインの同時投与で消失することなどから、2-DTAはグルコースと同様Na-Kポンプを活性化することにより膜を過分極すると考えられる。3-DPAは膜コンダクタンスの減少を伴って膜を脱分極させた。一方、視床下部腹内側核(VMH)ニューロンは2-DTAにより脱分極した。その際膜コンダクタンスは減少しており、その平衡電位が約-90mVであることから、グルコースと同様gkの減少による脱分極である。3-DPAは膜コンダクタンスの増大を伴って膜を過分極させるが、これもその平衡電位からgkの増大によるものである。これらの結果は麻酔下のラットで多連微小電極法で得られた結果と完全に一致する。摂食行動抑制ペプタイドであるグルカゴン、カルチトニンの作用をLHAニューロンで検討した結果、両者ともLHAニューロン膜を過分極させた。前者はグルコース、2-DTAと同様膜コンダクタンスの変化は認められず、またウワバインの同時投与により、その抑制効果が阻害された。後者は膜コンダクタンスの減少を伴ったことから、静止時における【Na^+】あるいは【Ca^(++)】の流入をブロックすることによる過分極と考えられる。
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[Publications] Jpn.J.Physiol.35. (1985)
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[Publications] Brain Res.332. (1985)
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[Publications] Am.J.Physiol.250. (1986)
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[Publications] Brain Res.(1986)
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[Publications] J.Physiol.(1986)