1986 Fiscal Year Annual Research Report
ATP依存性DNaseの反応機構と細胞内の遺伝子組換え過程におけるその役割
Project/Area Number |
60440105
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
高木 康敬 藤田学園保衛大, 医学部, 教授 (50037313)
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Keywords | ATP依存性DNase / recBC遺伝子 / 細胞内遺伝子組換え / ATP |
Research Abstract |
ATP依存性DNaseは細菌界に広く分布し、ATPの添加を必須としてこれをADPとPiとに開裂、そのエネルギーを用いて直鎖状の二本鎖または一本鎖のDNAを末端から分解して、オリゴヌクレオチドを産生するが、環状DNAの分子には全く作用しないという特異な作用を持ち、ATPのエネルギーがDNAの分解反応にいかに利用されているかが反応論的に興味深い。一方この酵素タンパクは生命現象に必須な細胞内遺伝子組換え過程に働くrecBとrecC遺伝子の産物であることが知られており、その作用機構を解析することは組換え過程を理解する手がかりを与えるものと期待される。そこで遺伝的解析にもっとも好都合な大腸菌を材料として、recBとrecC遺伝子を別々にクローン化し、それぞれの産生タンパクを精製して反応機構を明らかにする目的で本研究を開始した。 本年は作年度につづきrecBとrecC遺伝子を別々にpBR322プラスミドにクローン化して多量にあつめて精製し、そのうちrecC遺伝子について3362個のヌクレオチドよりなる全構造を明らかにすることができた。そしてさらにrecBおよび他の遺伝子の塩基配列をきめようとしている。 他方ATP依存性のDNaseを抗原にして、種々の方法を用いその両遺伝子の産物に対するモノクローナル抗体をとる実験を繰り返したが、recC産物に対する抗体しか出来ず、それも結合力が弱いため吸着に時間を要し、十分に実験をすすめることはできなかった。
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