1986 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
60450051
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
古賀 登 早稲田大, 文学部, 教授 (90063304)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石見 清裕 早稲田大学, 文学部, 助手 (00176562)
福井 重雅 早稲田大学, 文学部, 教授 (30063639)
長澤 和俊 早稲田大学, 文学部, 教授 (60083333)
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Keywords | 中国少数民族 / 楚文化 / 覊縻政策 |
Research Abstract |
中国の少数民族を歴史学の上から考察する際に、最も重要な時代は、ひとつは漢代であり、もうひとつは唐代である。漢代は、春秋・戦国時代の多くの国家・民族がひとつにまとまって始めて漢民族の概念が形成される時期であり、唐代は、五胡十六国時代に外部から中国に侵入して来た諸民族に対し覊縻政策という独自の統治政策が展開された時期だからである。そこで、本年度はこの二つの時代に焦点をあて、この時期における少数民族の存在形態あるいはそれらに対する中央政府の統治形態の分析を中心に研究を進めた。その結果、得られた成果は次のとおりである。 1.春秋・戦国期の華北の民族は、漢代には国家の中枢民族として機能してゆくのに対し、南方の諸民族は依然として独自の文化や存在形態を残しており、これらが後の時代にも多くの問題点を投じてくる。ところで春秋・戦国・漢代のこうした南方系民族の問題は、換言すれば楚文化研究の分野の問題であるが、中本・中国における最近の楚文化研究は著しい進展を見せている。そこで、そうした論考資料をでき得る限り収集した。次年度は、それらをもとに「楚文化研究関係文献目録」を研究成果の一部として作成したいと考えている。 2.唐代の覊縻政策については、従来は唐が版図を拡大した北アジア・中央アジアの諸民族を如何に統治したのかという点を中心に研究されてきた。唐代の華北・江南の少数民族に対する覊縻政策の分析は、史料上の制約を受けるからである。しかしながら、詔敕文や上表文の中には覊縻政策研究の史料が見出され、それらによってある程度実態がつかめることがわかった。そこで次年度は、成果の一部として、唐代の覊縻政策に関する史料集を作成する予定である。
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[Publications] 古賀登: "中村治兵衛先生古稀記念東洋史論叢(唐代賦役制下の官賤民の負担)" 刀水書房, 269-284 (1986)
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[Publications] 古賀登: "律令制-中国朝鮮の法と国家-(唐代賦役制度の再検討-品子・蔭免子孫・勲官・散官の負担-)" 汲古書院, 483-515 (1986)
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[Publications] 石見清裕: "日野先生頌寿紀念・東洋史論集(唐の突厥遺民に対する措置をめぐって)" 中国書店,