1986 Fiscal Year Annual Research Report
高濃度パラジウム化合物の開発とその磁気的性質の研究
Project/Area Number |
60460029
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
石川 征靖 東大, 物性研究所, 助教授 (70159705)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高畠 敏郎 東京大学, 物性研究所, 助手 (40171540)
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Keywords | Pd-Se化合物 / 平衡状態図 / 超伝導 / スピンのゆらぎ |
Research Abstract |
超伝導と強いスピンのゆらぎの共存する可能性を持つPd-Se二元系に注目し、Pd高濃度側での平衡状態図を確立し、そこに見出された5つの化合物の超伝導及び磁気的特性を明らかにした。 SeのPdへの固溶度は600℃で1.5at%であり、18〜25at%の狭い領域に【Pd_9】【Se_2】、【Pd_4】Se、【Pd_7】【Se_2】、【Pd_(24)】【So_(11)】が存在する。後の二者については単結晶を用いて結晶構造を決定し、【Pd_o】【Se_2】は【Pd_4】Seを約10umおきに層状に含むことによって構造が安定化されることを見出した。さらに、共晶点の組成の【Pd_(0.7)】【Se_(0.3)】では液体急冷法によってアモルファス薄膜を作製した。これらのうち超伝導を示したのは【Pd_o】【Se_2】(Tc=0.64k)、【Pd_7】【Se_2】(0.53k)【Pd_(34)】【Se_(11)】(2.66k)とアモルファス【Pd_(0.7)】【Se_(0.3)】(2.04k)である。 Pd-Se化合物の中で【Pd_(34)】【Se_(11)】の示す高いTcは、比較的強い電子-フォノン相互作用にあることが、比熟の解析から示された。また【Pd_(34)】【Se_(11)】の電気抵抗と上部臨界磁場は、他の化合物に較べて特異な温度依存性を示すが、これらはこの化合物特有の結晶構造を反映しているものと孝えられる。 Pdの強いスピンのゆらぎは、Seの固溶に伴って弱まることが、帯磁率の温度依存性から示されたが、Se1.5at%以下の固溶領域では超伝導は0.38kまで現われない。一方、超伝導を示したPd9Se2、Pd7Se2、Pd34Se11のいずれも帯磁率の大きさは、純粋なPdの百分の一程度であって、その温度変化も小さい。従って上記の化合物では、強いスピンのゆらぎが抑えこまれて、超伝導が出現したものと結論される。
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[Publications] T.Takabatake;M.Ishikawa;J.L.Jorda: J.Less-Common Metals. (1987)
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[Publications] T.Takabatake;M.Ishikawa;A.Junod: J.Phys.Soc.Japan. (1987)
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[Publications] S.Sato;T.Takabatake: Acta Crys.B. (1987)