1986 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
60460046
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
小野 延雄 北海道大学, 低温科学研究所, 教授 (40001648)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
滝沢 隆俊 北海道大学, 低温科学研究所, 助手 (00002171)
若土 正曉 北海道大学, 低温科学研究所, 助教授 (60002101)
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Keywords | 極域海洋 / 海水 / 海洋熱流量 / 海洋混合層 / 熱収支 / 海面水温 |
Research Abstract |
海氷の生産域では、海洋表層から大気へと流れる海洋熱流量は、氷生成時に排出されるブライン(濃縮海水)の沈降でひきおこされる対流によって運ばれる。海氷が一枚板として成長する場合は、氷の上にのって結氷板を熱流計として使い、海洋熱流量を現場計測することが可能になる。強い風のもとでの海氷生成は、氷の結晶が風下に流されて水面が維持されるので、氷およびブラインの高生産域となり、多量の熱が大気に放出される。海氷域での海洋熱流量にかかわる現象解明を目的とし、今年度は以下の研究を実施した。 1.低温室内水槽実験 長さ2m,幅0.5m,深さ0.6mの横長透明水槽と直径1.1m,深さ1.2mの縦長水槽とを使って、種々の温度条件下で結氷させる実験を行った。透明水槽実験では送風機で表面に風を送り、吹送流下での対流現象,水中過冷却と水中氷生成の様子などを観察し、計測した。 2.サロマ湖(塩湖)の海氷での現場実験観測 初年度の現場実験でプール薄氷の成長速度が0に近いとき、15W/【m^2】程度の海洋熱流量が薄氷中を流れる結果を得た。今冬は湖氷の厚さがほぼ安定する3月上旬に現場実験観測を行い、厚さ32cmの氷層中を10W/【m^2】前後の海洋熱流量が海から大気へと流れていることなどを知った。 3.北海道大学練習船おしょろ丸航海時の海面付近温度場計測 海面の上下1〜2cmに10個のサーミスタを配列した浮輪を海に浮かべて、海面付近の温度場を測定し、同時に赤外放射温度計で表皮水温を計測した。海面付近温度場に依存する表面水温・表皮水温関係があり、新知見を得た。 これらの結果はさらに実験・解析を加えて、現場観測の結果は本年8月にバンクーバーで開かれるIUGG会議で発表し、低温室実験と航海中計測の結果は海洋学会等で発表の予定である。
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Research Products
(1 results)