1987 Fiscal Year Final Research Report Summary
差分法, 同期運動法を用いた陽電子消滅による物質構造の研究
Project/Area Number |
60460064
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Applied materials
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
藤田 英一 大阪大学, 基礎工学部, 教授 (90029380)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
江沢 正思 大阪大学, 基礎工学部, 助手 (90160358)
那須 三郎 大阪大学, 基礎工学部, 助手 (00030057)
大嶋 隆一郎 大阪大学, 基礎工学部, 助教授 (50029469)
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Project Period (FY) |
1985 – 1987
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Keywords | 陽電子消滅 / 陽電子寿命 / 時効効果 / 原子空孔 / 空孔-溶質原子相互作用 / 拡散 / D-T中性子照射 / シリコンウエファ |
Research Abstract |
1.形状記憶Cu-Sn合金の顕著な室温時効効果の原因を陽電子消滅寿命測定, 電気抵抗測定, 電顕によって調べた. 陽電子寿命の変化は電気抵抗変化と良く対応したが, 変化量が非常に少さく, 繰り返し測定と差分によるデータ整理で初めてそれが本質的な現象であることが明らかになり, 時効に関与するSn原子の移動の活性化エネルギーとして0.89eVを得た. また, Sn原子の高速拡散にはこの合金に多量に含まれる構造空孔が関係していることが示唆された. 2.Au中の原子空孔とCo原子との相互作用および凍結原子空孔の回復過程の知見を得ることを目的として急冷処理した希薄Au-Co合金の等時焼鈍による陽電子寿命の変化を測定した. Auの原子空孔はCo原子と強い結合力を示し, 結合エネルギーは0.33eVというかなり大きな値を持つことが分かった. また空孔-Co原子対がそのまま長距離の移動拡散を行うことが分かった. 3.局部的に電気抵抗異常を示す6インチSiウエファについて試料の位置を変えながら陽電子寿命測定を行ったが有意の変化は観測されなかった. X線トポグラフで明かな欠陥コントラストを示し空孔濃度の高い領域と報告されているSiウエファについて陽電子寿命測定を行ったが他の領域との差は殆んど見いだせなかった. 一方, D-T中性子(14MeV)照射を行ったSiには明瞭な長寿命成分が存在することが明かになり, それは複空孔型欠陥の形成によると解釈出来た. この成分は10分間の等時焼鈍を行うと, 160゜C付近から寿命増大し, 300゜C以上では再び焼鈍前の値に戻る. 4.低温及び高温用測定装置に関しては陽電子線源と試料との間隔を可能な限り接近させそれを一定に保持しつつ試料のみを安定に移動させる機構が未解決で今後の検討課題として残った.
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[Publications] Hiroyuki Minemura: Proceedings of International Symposium on shape Memory Alloys. 215-220 (1986)
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[Publications] Isao Tanaka: Materials Science Forum. 15. 853-856 (1987)
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[Publications] Saduro Nasu: Proceeding of International Confeence on Application of Mossbauer Effect. (1988)
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[Publications] 森田英一: 日本金属学会報. 27. (1988)
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[Publications] Ryuichiro Oshima: Proceedings of International Conference on Lattice Defects in Semiconductors. (1988)