1986 Fiscal Year Annual Research Report
中高温下における巨視ならびに微小疲労き裂の伝播に関する研究
Project/Area Number |
60460081
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
小倉 敬二 阪大, 基礎工学部, 教授 (70029007)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西川 出 大阪大学, 基礎工学部, 助手 (90189267)
三好 良夫 大阪大学, 基礎工学部, 助教授 (40029434)
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Keywords | 疲労き裂 / き裂進展 / 進展下限界 / き裂開閉口 / 付着酸化物 / 破面あらさ / 中高温 |
Research Abstract |
疲労き裂進展下限界近傍のき裂進展挙動におけるき裂開閉口現象の役割を明確にすることを目的とし、SUS304鋼,SM41A鋼,SS41鋼ならびに耐熱Al合金2218-T6を用いて常温から中高温域における疲労き裂進展ならびに下限界挙動を調べ、ΔKthに及ぼす温度の影響について検討した。得られた結果の概要は以下の通りである。 1.SUS304鋼,SM41A鋼,SS41鋼の各鋼とも下限界値ΔKthは温度上昇とともに増大し、特に、250℃以上から急激な上昇傾向を示すことが明らかとなった。両鋼とも線形き裂進展領域においてき裂開口レベルは試験温度の上昇とともに低下するが、いずれの温度においても下限界に向けて大きく上昇した。 2.耐熱Al合金2218-T6ではその様相が大きく異なり、温度上昇とともにき裂進展速度は増大、下限界値は低下することが明らかとなった。ΔKeffthの値は温度上昇とともにさらに大きく低下した。 3.以上のようなΔKth値の温度上昇に伴う増大あるいは減少の原因は本質的にはΔKeffthの音度依存性にき裂閉口のそれが重畳したものと考えられるが、両者の寄与度は各場合で異なる。SUS304鋼の場合、高温になるにつれて破面は著しく粗くなるが、それに伴ってき裂閉口が顕著に生ずることはなくΔKth値の上昇は主としてΔKeffth値の上昇に起因する。SM41A鋼の場合、ΔKeffthの温度上昇割合は比較的小さく、一方破面上に付着した酸化物の堆積量はΔKthレベルの上昇と良く対応し、ΔKth値の上昇は主として酸化物誘起によるき裂閉口の上昇に起因している。しかし同じ炭素鋼でもSS41鋼ではき裂閉口の寄与は少なくΔKthの温度上昇に伴う増大はSUS304鋼の場合と同様ΔKeffthの増大による所が大きい。一般にΔKthの温度依存性に及ぼすき裂閉口の寄与の程度は下限界におけるき裂先端開口変位との相対関係で決定していることが明らかとなった。
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[Publications] 小倉敬二: 日本機械学会論文集. 52. 89-98 (1986)
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[Publications] 西川出: 日本機械学会論文集. 52. 1269-1275 (1986)
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[Publications] 西川出: 日本機械学会論文集. 53. (1987)
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[Publications] KeijI Ogura: Abstracts of Inte.Conf.on Role of Fracture Mechanics in Mordern Technology(FuKuoka,Japan). 137 (1986)
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[Publications] 西川出: 第18回被労シンポジウム(日本材料学会). 196-200 (1986)
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[Publications] 西川出: 第4回破壊力学シンポジウム(日本材料科学会). (1987)