1986 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
60460103
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
井上 雅弘 九大, 工学部, 教授 (90037903)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 芳久 九州大学, 工学部, 助手 (40037883)
|
Keywords | 流体工学 / はく離 / 乱流 / 回転翼列 / 遠心力 / コリオリカ / 先端漏れ渦 / 境界層 |
Research Abstract |
本研究では、ターボ機械の主構成要素である回転翼列の内部流動予測数値解法の確立に資するため、回転翼列に生じる種々のはく離の構造及び乱流特性を実験的に調べ、乱流モデルとの比較検討を行う。本年度は、はく離流れの中で最も回転翼列性能と密接な関係がある翼先端流れが、ケーシング壁面境界層と干渉する様子を調べた。その主な成果は次の通りである。 1.先端すきまが大きくなって漏れ流れが増大するほど、回転翼列後方における渦の巻き上がりが強くなり、ケーシング境界層の排除効果が強くなる。 2.漏れ渦は、強くなるに従って翼背面から離れ隣接翼の圧力面に近づくとともに、ケーシング面からも離れる。このため回転翼列出口の旋回速度成分は壁面から少し離れた位置(境界層外層域)で主流部における値よりも大きくなり、ケーシング境界層の周方向運動量厚さは負値となる。 3.漏れ渦が強くなると、ケーシング境界層の外層域では旋回速度成分の増大により回転翼列の局所効率は低下するが、内層域では渦の混合作用により全圧が大きくなり、局所効率は漏れ渦が弱い場合よりも大きくなる。 4.回転翼列先端における流入角は、流量の減少及びケーシング面の流入境界層の増加によって大きくなるが、先端付近の翼素性能は局所的な流入角にはあまり関係せず、主流部の翼列性能に依存する。この理由は翼先端ではく離して巻き上がる漏れ渦が主流部の翼列性能と密接に関連するためである。 5.翼負荷が大きいほど漏れ渦が大きく、ケーシング境界層の発達の割合も大きい。特に回転翼列の失速点付近ではケーシング境界層の増大が著しい。 6.上記の実験事実を参照して、回転翼列先端における翼力欠損モデルを提案し、環状壁境界層の運動量積分方程式を解いて、回転翼列後方におけるケーシング境界層を計算する方法と導き、実験結果と比較して計算法の妥当性を確認した。
|
-
[Publications] 井上雅弘: Journal of Engineering for Gas Turbine and Poxer,Transaction of ASME. 108. 7-14 (1986)
-
[Publications] 井上雅弘: 日本機械学会論文集 B編. 52. 3980-3986 (1986)
-
[Publications] 井上雅弘: 日本機械学会論文集 B編. 53. (1987)