1986 Fiscal Year Annual Research Report
黒潮の陸岸境界域の漁海況短期変動予測-黒潮の小蛇行通過に伴う変動過程を中心にして
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60460209
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
杉本 隆成 東大, 海洋研究所, 助教授 (40004428)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平野 敏行 東海大学, 海洋学部, 教授 (30013593)
川崎 康寛 東京大学, 海洋研究所, 助手 (90175290)
中田 英昭 東京大学, 海洋研究所, 助手 (60114584)
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Keywords | 漁海況予報 / 海況変動 / 熊野灘 / 遠州灘 / 黒潮流路変動 / 前線波動 / 暖水舌 |
Research Abstract |
本研究は、黒潮流軸の小蛇行・前線波動に焦点を当てながら、この小蛇行・前線波動の東進に伴う、熊野灘と遠州灘の海況変動の動態を明らかにし、かつ、海況と漁況の変動の予測モデルを検討しようとするものである。初年度は、GEKによる表面流速と沿岸定置網における水温・漁獲量に関する、既往データーの統計解析を行い、黒潮の流路変動との間に密接な関係のあることを明らかにした。 本年度は、昨年度に設置した定期航路船に取り付けた水温・塩分および偏流の測定を軌道に乗せるとともに、熊野灘沖の黒潮の直下に設置していた流速計を無事回収して、それらのデーター解析を行なった。また、遠州灘沿岸のシラスの漁獲データーを収集し、出漁隻数あたりの漁獲量の経日変化の特性について検討した。解析が最も進展している、黒潮前線直下の係留系による水温と流速の解析結果は以下の通りである。 (1)1985年12月〜1986年3月の黒潮の直進流路パターン期における黒潮前線直下の水温と流速の南北成分のパワースペクトルから見ると、20日と11〜14日に卓越周期がある。東西(平均流に沿う)方向に約40km離して設置した流速計の相関およびコヒーレンスから、この前線波動は200kmと100kmの波長を持ち、約10【cm^(-1)】の位相速度で東進している。 (2)この周期は、沿岸定置網の資料に見られる20日および10日の卓越周期と対応している。それは、黒潮前線の波動の峯の部分が熊野灘の南西部に達すると、暖水舌として熊野灘の沿岸沿いに北上するためである。その力学的機構の究明は次年度の課題である。 (3)この波動は四国沖まで遡って追跡できるので、暖水舌の発生の予測に使えるものと期待される。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] S.Kimura;T.Sugimoto: 日本水産学会誌. (1987)
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[Publications] T.Sugimoto;M.Kobayashi: 日本海洋学会誌. (1987)
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[Publications] T.Sugimoto;S.Kimura;K.Miyaji: 日本海洋学会誌. (1987)
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[Publications] T.Sugimoto;M.Kobayashi: Proceedings of pacific symposium on Marine Sciences,Aug.7-16,1986 at Nakhodaka. (1987)
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[Publications] 中田英昭,杉本隆成: 水産海洋環境論(3-1章),恒星社厚生閣. 136-148 (1987)
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[Publications] 杉本隆成,石野誠,杉浦健三,中田英昭 編: "水産海洋環境論" 恒星社厚生閣, 325 (1987)
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[Publications] 杉本隆成: "水産海洋環境論3-2章 黒潮の沿岸境界域の流動" 恒星社厚生閣, 149-158 (1987)