1986 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
60470001
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
松永 義夫 北海道大学, 理学部, 教授 (60000733)
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Keywords | 液晶物質 / ネマチック液晶 / スメクチック液晶 / ディスコチック液晶 / ベンゼン誘導体 / ベンゼンスルホン酸塩 / アルキルアンモニウム塩 |
Research Abstract |
1.アルキルCONH基2個をもつベンゼン誘導体として、N,N′-ジアルカノイル-1.2-ジアミノ-3,4,5,6-テトラメチルベンゼンとN、N′-ジアルカノイル-1.3-ジアミノ-2,4,5,6-テトラメチルベンゼンの2系列を合成し熱測定ならびにX線回折を完了した。出現する液晶相はかなり秩序が高い相と判定された。他方、N,N′-ジアルカノイル-1.4-ジアミノ-2,3,5-トリメチルベンゼンについてはなお実験進行中であるが、その同族体のうちにはネマチック相を示すものが見出された。さらに、前出の基3個をもつN,N′,N″-トリアルカノイルトリアミノメシチレンについても実験進行中である。液晶相の出現温度は200度以上と高い。 2.N,N′-ジアルカノイル-1.4-ジアミノ-2,3,5,6-テトラアルカノイルオキシベンゼンの系列を合成し、熱測定、X線回折,広幅陽子NMR測定を完了した。多くの同族体で広い温度範囲にわたって出現する液晶相は六方対称を示すディスコチック相であることが確められた。既知のヘキサアルカノイルオキシベンゼンに比べ、同じアルカノイル基をもつ同族体の液晶相におけるパラフィン鎖の立体配座の乱れの度合は低いと結論された。 3.ベンゼンスルホン酸アルキルアンモニウムは、アルキル基中の炭素原子数が10ないし18のとき、液晶相を与えることが見出された。パラ位にメチル,エチル,アミノ,ニトロ基,オルトまたはメタ位にアミノ,ニトロ基それぞれをもつベンゼンスルホン酸を用いて、液晶相を与えるに必要なアルキル基の長さ,融点,透明点,後者におけるエンタルピー変化などにおよぼす置換基の効果を検討し、とくにアミノとニトロ基は位置によって大きな効果を与えることを知った。顕微鏡による組織の観察とX線回折の併用によって、いずれの液晶相もスメクチックA相と同定された。
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