1986 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
60470006
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
篠田 耕三 横国大, 工学部, 教授 (80017855)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
国枝 博信 横浜国立大学, 工学部, 助手 (60018041)
中山 春夫 横浜国立大学, 工学部, 助教授 (80017897)
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Keywords | 四級アンモニウム塩 / 包接水和物 / 氷様構造 / ポリアクリル酸塩水溶液 / インタカレーション |
Research Abstract |
交付申請書に記載した研究実施計画1〜4に対応する主な結果を記す。 1.一連の【R_4】【N^+】(R=【CH_3】〜n-【C_5】【H_(11)】,i〜【C_5】【H_(11)】)を対イオンとするポリアクリル酸塩水溶液に対し、示差走査熱量計により、各溶液の凝固および融解過程を調査した結果、R=n-【C_4】【H_9】およびi-【C_5】【H_(11)】の場合にのみ、氷とは異なる水和物固相の生成を確認した。これらの水和物の調和融点および水和数はR=n-【C_4】【H_9】の場合11.2℃,30±1,R=i-【C_5】【H_(11)】の場合19.5℃,42±2と決定された。この物性値から、これらの水和物は【(n-C_4H_9)_4】NF包接水和物などと類似の包接水和物と判定された。ポリアニオンを持つ包接水和物の生成は世界で初めての発見である。 2.上記水溶液の高濃度領域における粘性および密度の温度変化の測定から、R=n-【C_4】【H_9】やi-【C_5】【H_(11)】の水溶液の粘性は低温になると著しく増加し、両液におけるcage-like構造の発達が確認された事、ポリアクリル酸イオンの部分モル体積は、両液に対し24【cm^3】で他の塩の場合(19〜20【cm^3】)より大きくなるが、これは【(n-C_4H_9)_4】【N^+】や【(i-C_5H_(11))_4】【N^+】周囲における氷様構造の発達が優先する結果、ポリアクリル酸イオン周囲のcage-like構造はかえって乱れているためと結論した。 3.【(n-C_4H_9)_4】NFおよび【(n-C_4H_9)_4】NOOC【C_2】【H_5】包接水和物中へのC【H_3】OHおよび【C_2】【H_5】OHのintercalationを【^(14)C】を用いたトレーサー実験により調査した結果、【C_2】【H_5】OHは両水和物中にintercalateされるのに対し、C【H_3】OHは前者の水和物中にしかintercalateされない事が判明した。intercalateされるアルコールの量と濃度との関連、アルコールのintercalateされる空隙の性質などについて検討された。 4.一連の【R_4】NX(R=C【H_3】〜n-【C_8】【H_(17)】;X=無機イオン)の水に対する溶解性を陽イオンおよび陰イオンの部分モル体積との相関関係から検討し、陽イオン周囲のcage-like構造の発達が溶解性を高めている大きな要因である事が判明した。また、R=【C_6】【H_(13)】や【C_8】【H_(17)】の硝酸塩の低溶解性を利用して、癈水中の【NO(^-_3)】の除去に応用する研究を追加する予定である。
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[Publications] 篠田耕三: Colloid and Surfaces. 19. 185-196 (1986)
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[Publications] 中山春夫: Bull.Chem.Soc.Jpn.59. 833-837 (1986)
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[Publications] 中山春夫: Bull.Chem.Soc.Jpn.60. 839-843 (1987)
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[Publications] 中山春夫: Bull.Chem.Soc.Jpn.60. 4-5 (1987)
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[Publications] 中山春夫: Bull.Chem.Soc.Jpn.60. 6-7 (1987)
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[Publications] 中山春夫: Bull.Chem.Soc.jpn.