1986 Fiscal Year Annual Research Report
硫黄,セレン原子をもつペプチドのコバルト(III)錯体の合成とその反応,立体化学の研
Project/Area Number |
60470043
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
日高 人才 筑大, 化学系, 教授 (40028105)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野本 正代 筑波大学, 化学系, 助手 (00143165)
岡本 健一 筑波大学, 化学系, 助教授 (70132983)
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Keywords | コバルト【III】錯体 / 立体化学 / 含硫および含セレン有機配位子 |
Research Abstract |
61年度は60年度に引き続き、硫黄原子を含むジプペチド即ち、L-メチオニルグリシン、グリシル-L-メチオニンを配位したコバルト【III】錯体を合成し、重金属イオンとの相互作用について検討した。特に配位硫黄原子に関する分光化学的、立体化学的性質について検討し、興味ある知見を得ることができた。次に、L-メチオニンの硫黄原子をセレン原子に置き換えたDL-セレノメチオニンを配位したコバルト【III】錯体を合成した。この錯体には5つの可能な幾何異性体、trans(N),trans(O),trans(Se),trans,trans,trans,cis,cis,cisが存在する。このうちtrans,trans,trans異性体以外の4つの異性体には光学異性体も存在する。まずイオン交換クロマトグラフ法により、5つの幾何異性体を分離精製した。これらの異性体は電子吸収、HNMRスペクトル等を用いて同定した。セレノメチオニンの配位セレン原子は、不斉配置となっており、R配置,S配置のどちらかをとる。この配位不斉セレン原子の反応性は対応するメチオニンの配位不斉硫黄原子とかなり異なっており、この性質の違いについて検討し、興味ある知見を得た。また、4つの異性体については光学分割を行ない、それらの円偏光二色性(CD)スペクトルを立体化学の関係についても検討した。L-システインのようなチオラト型硫黄原子を配位した場合には、硫黄原子は特異な反応性を示す。この性質を検討するために、L-システインの硫黄原子が2つの金属間に架橋配位した三核錯体を合成した。この錯体は反応させるコバルト金属の電荷に依存して選択性を示した。この選択性の原因を追求するために代表的異性体について単結晶X線構造解析を行ない、三核錯体の立体配置を追求した。また電気化学的性質についても検討した。さらに 1,3-プロパンジチオールを配位した金属錯体についても検討し、チオラド型配位硫黄原子まわりの性質を明らかにした。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 日高人才: Bull.Chem.Soc.Jpn.,. 59. 1145-1150 (1986)
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[Publications] 日高人才: Bull.Chem.Soc.Jpn.,. 59. 3859-3864 (1986)
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[Publications] 日高人才: Bull.Chem.Soc.Jpn.