1986 Fiscal Year Annual Research Report
超薄膜アモルファス合金の調製とその反応性に関する研究
Project/Area Number |
60470080
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
今中 利信 阪大, 基礎工学部, 教授 (30029417)
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Keywords | 薄膜 / スパッタリング / 高部分水素化選択性 |
Research Abstract |
RFスパッタリング法を用いて、Pd-B,Pd-P,Ru-B、Pt-B薄膜を調製した。この方法により従来、調製が困難であった貴金属のホウ化物合金リン化物合金が容易に調製できた。しかもターゲットの金属を変えるだけで合金の金属種を変えることができ、放電条件を変えることにより、種々のボロンまたはリン濃度を持つ合金が調製できた。 Pd-BおよびPd-Pでは、シクロペンタジエンの部分水素化反応の選択性はボロンまたはリン濃度の増加とともに増加し、【Pd_(67)】【B_(33)】および【Pd_(75)】【P_(25)】においてそれぞれ96.5%,100%と非常に高い値が得られた。しかしPd-Bにおいては1,3-ブタジエンおよびアセチレンの部分水素化反応の選択性は【Pd_(80)】【B_(20)】で最高となり、それぞれ97.1%,89.0%であった。これらの高選択性を示す薄膜に熱処理を施すとさらに選択性は向上した。このようにPd合金薄膜は非常に高い部分水素化選択性を示すことがわかった。 Ru-Bでは、1.3-ブタジエンの生成物分布はボロン濃度に対してあまり変化しなかったが、熱処理を行って表面構造を変化させると生成物分布は大きく変化した。Ruの場合表面構造が選択性に大きく寄与していると思われるので、さらにRu薄膜について膜厚を変化させて選択性の変化を調べた。Ru薄膜の膜厚を変化させると明らかに構造が変化していることがX線回折によりわかった。これとともに選択性も変化し、膜厚が減少するとn-ブタンが減少して1-ブテンが増加し、部分水素化選択性は良くなった。 Pt-Bでは、PdやRuにくらべてボロンがはいり込みにくく、ボロンの状態は酸化ボロンとなっており、アモルファス状態となっているPt-B薄膜は調製できなかった。水素化活性もPdやRuに比べると小さく、薄膜状のPtは水素化活性は低いことがわかった。そこで膜厚を薄くしてPtを島状に分散させると活性は向上した。
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[Publications] Imanaka Toshinobu: Chemistry Letters. 449-450 (1984)
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[Publications] 今中利信: 触媒. 27. 112-114 (1985)
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[Publications] 今中利信: 日本化学会誌. 1064-1069 (1985)
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[Publications] Tamaki Jun: Chemistry Letters. 679-682 (1986)
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[Publications] Imanaka Toshinobu: Proc.10th Symp.on ISIAT,Tokyo. 437-444 (1986)
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[Publications] Tamaki Jun: Chemistry Express. 2. 125-128 (1987)
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[Publications] 玉置純: 触媒. 29. 170-173 (1987)