1986 Fiscal Year Annual Research Report
有機金属化合物の酸化還元によって生成する活性種の化学とその応用
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60470090
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
大辻 吉男 阪府大, 工学部, 教授 (20081341)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水野 一彦 大阪府立大学, 工学部, 助手 (10109879)
中西 三郎 大阪府立大学, 工学部, 助手 (40081343)
去来川 覚三 大阪府立大学, 工学部, 助教授 (30081342)
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Keywords | 有機ケイ素化合物 / 有機スズ化合物 / ラジカルイオン / 低原子価チタン錯体 / ヒドロホウ素化反応 / 不斉ヒドロアルミ化反応 / 鉄カルボニル錯体 / 還元的脱酸素反応 |
Research Abstract |
有機金属化合物の新しい化学的機能を開拓し、その合成化学的利用を図る目的で研究を進め、以下のような成果を得た。 1.有機典型金属化合物から発生する活性種の化学とその応用:(1)アリル型,ベンジル型ケイ素化合物と各種芳香族ニトリルおよびα,β-不飽和ニトリルとの光化学反応を検討し、これらの光化学反応では、基質化合物の構造や反応条件に応じて、ケイ素化合物に由来するアリル基,ベンジル基のニトリル化合物に対する新しい4種の置換反応および付加反応がそれぞれ高効率かつ高選択的に起ることを見い出した。(2)ハロゲン化アルキル存在下におけるアリル型スズ化合物とα,β-不飽和ニトリルの光化学反応では、ニトリル化合物の炭素-炭素二重結合に対するアルキル基とアリル基の新しい隣接二成分付加反応が起ることを見い出した。(3)これらの光化学反応では、基質化合物間の光誘起電子移動によって生成するラジカルイオン種が反応活性種になることを明らかにし、これらの活性種の化学的特性を支配する因子について多くの新知見を得た。 2.有機前周期遷移金属化合物から発生する活性種の化学とその応用:(1)各種チタン化合物のNaB【H_4】による還元によって生成するチタン活性種がジエンや含酸素不飽和化合物の位置および立体選択的ヒドロボウ素化反応の有効な触媒になることを見い出し、これらの反応の特性について多くの新知見を得た。(2)キラル配位子をもつチタン錯体が不飽和化合物のLiAlH4による不斉ヒドロアルミ化反応の触媒になることを見い出した。 3.有機後周期遷移金属化合物から発生する活性種の化学とその応用:Fe【(CO)_5】から得られる不飽和度の高い鉄錯体が各種イミノ化合物の還元的脱酸素反応の有効な反応剤になることを見い出し、この反応の特性と合成化学的利用について多くの新知見を得た。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 水野一彦: Chem.Lett.203 (1987)
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[Publications] 水野一彦: 光化学討論会(堺,1986年11月)講演要旨集【II】A205. P201
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[Publications] 水野一彦: 日本化学会第52春季年会(京都,1986年4月)講演要旨集4Z01,. P1650
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[Publications] 水野一彦: 第33回有機金属討論会(東京,1986年10月)講演要旨集B107. P157
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[Publications] 去来川覚三: 5th International Symposium on Homogeneous Catalysis(Kobe,September 1986),Abstr.,No.C-33.P267
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[Publications] 中西三郎: 日本化学会第53春季年会(名古屋,1986年10月)講演要旨集2K11.