1986 Fiscal Year Annual Research Report
新ホスト化合物・カリキサレンを基体とする機能性分子の合成と応用に関する研究
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60470096
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
真鍋 修 長崎大, 工学部, 教授 (70100972)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上田 香緒 長崎大学, 工学部, 教務員 (70168623)
新海 征治 長崎大学, 工学部, 助教授 (20038045)
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Keywords | フェノール / ホルムアルデヒド樹脂 / カリキサレン / ホスト化合物 / 分子認識機能 / 酸解離定数 / 環状配位子 |
Research Abstract |
当該年度はカリキサレンを水溶性ホスト化合物に誘導し、その性質を詳細に調べた。また、水酸基に金属イオンと相互作用する官能基を導入し、環状イオノファーを合成し、そのイオン親和性の評価も行なった。まず、水酸基のパラ位にスルホナート基を導入し、種々の水溶性カリキサレンを合成する方法を確立した。これらの化合物は、環員数および水酸基上の置換基の種類により、異なる疎水性空孔を提供し、分子認識機能を有することが明らかとなった。プロパンサルトンと処理することにより、水酸基側にスルホナート基をもつ異なるタイプの水溶性カリキサレンの合成法も確立した。一方、水溶性のカリックス〔4〕アレン類の水酸基の解離定数を詳細に調べた。その結果、第一解離(【pKa_1】)は1以下の強酸性を示すが、第4解離(【pKa_4】)は12以上の強塩基性を示すことが明らかとなった。すなわち、カリキサレン類は同一分子内に強酸と強塩基をもつ興味ある化合物であることが解った。これはカリキサレンの水酸基が強い水素結合で相互作用することを示している。さらに、水酸基の解離に伴って円錐型(cone)コンホメーションの安定性が変化することも明らかとなった。スルホナート基を有するカリキサレン類は強いアニオン性静電場を提供することを見い出した。特に、カチオン電荷をもつジアゾニウム塩とは安定な会合体を形成し、水溶液中でもジアゾニウム塩の分離を抑制する能力を示した。 水酸基上にエステル基あるいはエーテル基をもつカリキサレン誘導体は、環状の酵素系配位子として働き、クラウンエーテルと類似の機能を示すことが明らかとなった。環員数と対応して非常に良い金属選択性を示した。パラ位に脂肪族長鎖をもつ化合物は金属イオンの溶媒抽出に使用できることも見い出した。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] S.Shinkai: Journal of the Chemical Society,Chemical Communications. 233-234 (1986)
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[Publications] S.Shinkai: Journal of the American Chemical Society. 108. 2409-2416 (1986)
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[Publications] S.Shinkai: Chemistry Letters. 1351-1354 (1986)
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[Publications] S.Shinkai: Journal of the Chemical Society,Chemical Communications. (1987)