1986 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
60470104
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Research Institution | The Research Institute for Material Science and Engineering, Faculty of Engineering, Fukui University |
Principal Investigator |
古島 昭雄 福井大, 工学部, 助教授 (60016376)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水野 和子 福井大学, 工学部, 教務職員 (10126641)
岩田 一良 福井大学, 工学部, 教授 (00020230)
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Keywords | からみ合いの位相幾何学 / 高分子の慣性半径 / 中性子小角散乱 / 網目高分子 / 弾性自由エネルギー / 剛性率 |
Research Abstract |
1.高次の位相幾何学的相関を取り入れた高分子網目系の自由エネルギーの計算機シュミレーションを行ない、網目の剛性率が高分子の重り合い数に比例して増大することを明らかにした。これによって最近多数の米国の研究者によって行なわれた精密な剛性率測定の結果を、統一的かつ定量的に説明できることを示した。 2.からみ合いの位相幾何学理論を用いて、高分子のからみ合いには「弱いからみ合い」と「強いからみ合い」が共存しており、前者は応力に寄与し、後者は高分子の慣性半径を保存する性質があることを発見した。最近、フランスを中心にして、変形下の高分子網目中の高分子の慣性半径を、中性子小角散乱法を用いて測定する実験が行われ、従来の理論では理解不能な多数の結果が出されている。そのなかでもとくに、膨潤によって網目の体積を増大させても高分子の慣性半径は不変であるか、時には逆に減少するという結果は全く理解不能とされて来た。しかし、われわれの理論により、この性質は高分子の「強いからみ合い」に由来するものであり、ループの位相幾何学の原理から合理的に導きだされることも明らかにした。この理論はまだ定性的議論ができるだけの低い近似レベルにあるので、近似の精度を上げてより定量的取り扱いができるように理論を改良している。
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