1986 Fiscal Year Annual Research Report
生態系における腐植物質の化学構造と植物生育促進に関する研究
Project/Area Number |
60470124
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Research Institution | Kyoto Prefectural University |
Principal Investigator |
米林 甲陽 京府大, 農学部, 助教授 (00046492)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 秀和 京都府立大学, 農学部, 講師 (60094405)
服部 共生 京都府立大学, 農学部, 教授 (50046413)
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Keywords | 腐植酸 / 平均化学構造 / 【^1H】-NMR / 数平均分子量 / 植物生育促進作用 |
Research Abstract |
生態系における腐植物質の平均化学構造、界面活性能と植物生育促進作用との関係を明らかにするため、本年度は水成腐植酸について調べ、作年度の土壌腐植酸についての結果と比較検討した。 河底,湖底,海底堆積物から常法により腐植酸を抽出、精製した。各腐植酸について、カルボキシル基,フェノール性水酸基,カルボニル基,アルコール性水酸基の定量を行ない、FT-NMR分光計による【^1H】-NMR スペクトルの測定を行なった。元素分析の結果と以上の分析値から構造パラメーターを計算した。分子量分布をゲルクロマトグラフィーから求め、数平均分子量を蒸気圧浸透圧法で測定した。表面張力を"つり板法"で測定した。水稲を春日井氏水耕液で水耕栽培し、播種後3日又は2週間目から各種腐植酸を添加して、2週間栽培した。生育調査,根の活力測定,葉分析による各種養分吸収量の測定を行なった。 水成腐植酸は土壌腐植酸に比べ、水素含量,窒素含量が高く、プランクトンの元素組成に近い。カルボキシル基とカルボニル基量は比較的多く、沖積土壌腐植酸より多い。【^1H】-NMR スペクトルについて、4〜5.5ppmのシグナルをジヒドロイソクマリン型のラクトン環α位プロトンに帰属させた。そしてカルボキシル基の大部分はラクトンを形成しており、カルボニル基の大部分と重複して測定されている事を見い出した。水成腐植酸の芳香族炭素分率は低く、芳香環の縮合度は平均1以下であり、側鎖数は長い。数平均分子量は5000〜6000であった。表面張力は濃度が増加すると低下するが、その低下度は土壌腐植酸より著しい。水稲幼植物の根に対する生育促進効果が、腐植化度の低い腐植酸で認められた。特に根毛の成長が良くなることが、新しい生物検定法で確められた。葉分析の結果、Fe,Mg,Pの吸収量が増加していることが確められた。(α=5%有意)
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Research Products
(3 results)
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[Publications] K.Yonebayashi;T.Hattori: Science of total environment. 62. (1987)
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[Publications] K.Yonebayashi;T.Hattori: Soil Sci.Plant Nutri.
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[Publications] K.Yonebayashi;T.Hattori: Soil Sci.Plant Nutri.