1986 Fiscal Year Annual Research Report
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60480019
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
森沢 正昭 東大, 海洋研究所, 助教授 (40013594)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小笠原 強 東京大学, 海洋研究所, 助手 (20167315)
林 博司 名古屋大学, 理学部, 助教授 (00022608)
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Keywords | 精子運動開始 / サイクリックAMP / アフィニティークロマトグラフィー / 15Kタンパク / リン酸化 / チロシンキナーゼ / 抗体 |
Research Abstract |
昨年度ほぼ精製の完了したニジマス精子運動開始に係るリン酸化タンパク、15Kタンパクの収量をあげること、更には精製度を進めるための努力を行った。その結果ATP-アフィニティーカラムクロマトグラフィーの代りにADP-アフィニティーカラムを用いることにより、安定した収率を得られること、更にDEAE-Sephgroseイオン交換カラムクロマトグラフィーを1度通すことで、約10,000倍の純度をもつ標品を得ることができた。精製した標品についての諸性質を調べたところ、明らかにチロシン残基のリン酸化がおこっていること又、二次元電気泳動法によって、15Kタンパク質のリン酸化は一分子に対し複数のリン酸が結合することが示唆された。本年度の主要研究課題の一つは15Kタンパク質をリン酸化するプロテインキナーゼについて調べることにある。現在このプロテイキナーゼ(チロシンキナーゼ)が精製15Kタンパクに付随して精製されてきた別のタンパク質であるのか、又は15Kタンパク自身がチロシンキナーゼの活性をもつ、いわゆる自己リン酸化タンパクであるのかについては、現在の科学の先端的課題として、極めて興味あることである。本年度の研究では、その点を明らかにしようと試みたが、結論は得られなかった。しかし、通常のプロテインキナーゼ阻害剤では、15Kタンパクのリン酸化は阻害されず、チロシンキナーゼに特異的な阻害剤が、特異的にリン酸化を阻害することが明らかとなった。また、15Kタンパク質の坑体の作製を試み、ポリクロナールの坑体を得ることができた。しかし、本坑体の力価は強くはなく、15Kタンパク質のリン酸化抑制作用も弱い。今後はより強力な抗体の作製を試み、上記チロシンキナーゼ阻害剤の研究と合わせて、精子の運動性と、15Kタンパク質のリン酸化の相関関係について調べてゆき、CAMP-チロシンキナーゼ-15Kタンパク質のリン酸化による精子運動開始の制御機構を明らかにしていく。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Morisawa,Masaaki: Development Growth and Differentiation. 28. 13-14 (1986)
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[Publications] Morisawa,Sachiko: Journal of Experimental Biology. 126. 89-96 (1986)
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[Publications] Ishida,Katsumi: Develop.Growth and Differentiation. 29. 47-56 (1987)
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[Publications] Morisawa,Masaaki: Journal of Expermental Zoology.
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[Publications] 森沢正昭,会田勝美,平野哲也: "回遊魚の生物学" 学会出版センター, 375 (1987)