1986 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
60480031
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Research Institution | Ishikawa Agricultural College |
Principal Investigator |
新関 宏夫 石川県農短, その他, 教授 (60140951)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木庭 卓人 石川県農業短期大学, 農業資源研究所, 助手 (40170302)
島田 多喜子 石川県農業短期大学, 農業資源研究所, 助教授 (20170946)
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Keywords | イネ / コムギ / 幼穂培養 / パラフルオロフェニルアラニン / PFP / 体細胞染色体減数 |
Research Abstract |
作物の祖先種を明らかにすることは、作物の育種や進化の研究にとってきわめて重要であるが、重要農作物であるイネのDDゲノム種は未発見であり、コムギのBBゲノム種もまだ確定されていない。そこで、組織培養とパラフルオロフェニルアラニン(PFP)処理を併用する手法によって染色体減数を起させ、イネでは野生稲Oryza alta(ゲノムCCDD)からDDゲノム植物を、コムギでは二粒系コムギTriticum durum(ゲノムAABB)からBBゲノム植物を抽出するための実験を行った。 1.イネのDDゲノム植物の作出:先に作出したO.alta(2n=48)の3倍体(2n=36)の幼穂を用い、PFP30mg/l培地上で誘導したカルスから80個体の再分化植物を育成した。このうち30個体の染色体数を調査したが、いずれも2n=36で染色体数の減少したものは見出せなかった。染色体数未調査の植物体も形態的には特に異常なものはなく(班入り個体は生長するにつれて正常となった)、染色体数の大きな変動はないものと思われる。また、幼穂をPFP50mg/l培地でカルスを誘導し、それから10個体の再分化植物を得た。2個体について染色体数を調査したところ2n=36で減数個体は見出されなかった。62年度はPFP以外の染色体数に変動を起す化学物質(グルセオフルビンなど)を用いて同様の実験を続ける。 2.コムギのBBゲノム植物の作出:T.durum(2n=28)のあらかじめ除雄しておいた穂に花粉を交配し、交配直後と24時間後に数種の濃度のPFP溶液(0,20,50,100,200mg/l)を穎花内に注入した。得られた種子370粒を播き発芽させたところ330粒が発芽し、それらのうち322個体の根端細胞の染色体数を調査したところ、すべての個体が2n=28で染色体数の減少したものは得られなかった。62年度はPFP以外の染色体減数を引起す化学物質を用いて実験を継続する。
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