1986 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
60480047
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
井上 忠男 阪府大, 農学部, 教授 (60081486)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大木 理 大阪府立大学, 農学部, 助手 (00128761)
尾崎 武司 大阪府立大学, 農学部, 講師 (00081555)
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Keywords | 植物ウイルス / 疫学 / 混合感染 / ウイルス検出 / 血清診断 / 接触伝染 / サテライトRNA |
Research Abstract |
大阪府、和歌山県、鳥取県、香川県、徳島県、高知県で採集した各種野菜のウイルス病株からELISA法およびDIBA法によりウイルスの検出を試みた。キュウリではキュウリモザイクウイルス(CMV)、カボチャモザイクウイルス(WMV-2)およびズッキーニ黄班モザイクウイルス(ZYMV)の2種〜3種のウイルスの混合感染が最も普通にみられた。メロン、カボチャおよびスイカでも同様な傾向であったが、鳥取県のメロンでは検定株の全てがWMV-2とZYMVに混合感染しており、CMVの検出は低率であった。ソラマメではインゲンマメ黄班モザイクウイルス普通系が多く検出されたが病徴にはかなり差が見られた。エンドウではソラマメウイルトウイルスの発生が多かった。CMVとZYMVの発生も認められたが、混合感染は少なかった。トウガラシでは和歌山県のハウス栽培で問題となっている果実の奇形症状の原因究明を試みたところ、タバコモザイクウイルス(TMV)-トウガラシ系に起因することが明らかとなった。なお、CMVの発生は少なく、TMVとの混合感染株は少数しか検出されなかった。トマトでは検出されるウイルスの種類に地域差があり、平坦部の露地栽培ではCMVの発生が圧倒的に多く、TMVがこれに次いだ。山間〜中山間部ではポテトウイルスXやトマト黄化萎縮ウイルスの発生も見られ、これらの2種〜3種のウイルスの混合感染もしばしば認められた。CMVとしてはえそを起こす系統が広範囲に発生していた。本系統の核酸分析を行ったところサテライトRNA(s-RNA)が検出され、このs-RNAがえそ症状に関与していることが明らかとなった。また、s-RNAは他系統のCMVが感染しているトマトに接触伝染し、増殖することが判明した。ZYMVと混合感染したキュウリからのCMVの接触伝染について調べたところ、刃物、表面接触のいずれの場合にもCMV単独感染株からの接触伝染率が13〜43%であるのにくらべ、60〜80%の伝染率が得られた。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Poolpol.P;Inouye,T.: Bull.Univ.Osaka Prefectre Ser.B,. 38. 13-23 (1986)
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[Publications] Poolpol,P.;Inouye,T.: Ann.Phytopath.Soc.Japan. 52. 22-30 (1986)
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[Publications] 尾崎武司,松本明美,関瑞,井上忠男: 関西病虫研報. 28. 57 (1986)
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[Publications] Yoshikawa,N.;Inouye,T.;Converse,R.H.: Ann.Phytopath.Soc.Japan. 52. 437-444 (1986)
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[Publications] Yoshikawa,N.;Inouye,T.: Ann.Phytopath.Soc.Japan. 52. 643-652 (1986)
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[Publications] Yoshikawa,N.;Poolpol,P.;Inouye,T.: Ann.Phytopath.Soc.Japan. 52. 728-731 (1986)