1986 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
60480083
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山内 邦男 東大, 農学部, 教授 (60011821)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上野川 修一 東京大学, 農学部, 助教授 (50011945)
東 徳洋 東京大学, 農学部, 助手 (30151062)
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Keywords | 乳蛋白質 / 比較生化学 / 人乳 / カゼイン / α-ラクトアルブミン / 脂肪球皮膜蛋白質 |
Research Abstract |
1.人乳カゼインの主成分であるβ-カゼインは、リン含量による不均一性を示し、1分子中リンを0,1,2,3,4,5個含む(以下0P,1P〜5Pで示す)6つの分子種から構成されている。この点リン含量5個のもののみからなるウシβ-カゼインと異なっている。ヒトβ-カゼインをリン含量の異なる6つの成分に分画し、その物理化学的性質を比較した。Ca結合量はリン含量の増加に比例して増加した。3P〜5Pは20mMのCa存在下で37℃に加温すると急速に凝固するが、0P〜2Pは安定であった。しかし0Pと1PはCa不在下で加温すすると凝集し、これはリン含量の減少,消失による疎水性の増加によるものと考えられた。1Pは5PのCaによる凝固を阻止することを見出した。 2.ヒトK-カゼインには糖含量によるミクロヘテロジェニティーがあることを見出した。ヒトβ-およびK-カゼインとCaから構成されたミセルを大きさによって分画すると、大きいミセルではβ-カゼイン1K-カゼイン比が大きく、また大きいミセルの方がミセルを構成するK-カゼインの糖含量が少ないことを明らかにした。また人乳中にはK-カゼインと会合しやすい分子量約4万のリン含有糖蛋白質の存在することを見出し単離同定した。 3.抗ウシα-ラクトアルブミンモノクローナル抗体とウシ,ヤギ,キリン,モルモット,マウス,ラット,ヒト,サルなどのα-ラクトアルブミンの交差反応を調べた結果、ウシと進化の上で近いヤギ,キリンとは反応したが、それ以外では殆んど反応しなかった。このモノクローナル抗体は従来の抗血清よりも、より厳密に進化によるアミノ酸置換を識別していると考えられた。 4.人乳脂肪球皮膜の高分子量蛋白質の一つであるHMGP-Aは、すでに同定したHMGP-Cに比して、コラゲナーゼおよびキモトリプシンによって分解されやすかった。この高分子量糖蛋白質はレクチンPNA,WGA,SBAと反応したが、ConAとは反応しなかった。
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[Publications] N.Azuma: J.Dairy Sci.68. 2176-2183 (1985)
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[Publications] N.Azuma: J.Dairy Res.,. (1987)
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[Publications] M.Shimizu: Biochem.J.233. 725-730 (1986)