1986 Fiscal Year Annual Research Report
汽水産貝類への腸炎ビブリオの濃厚汚染の機序とその疫学的意義
Project/Area Number |
60480094
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
熊沢 教真 鳥取大, 農学部, 助教授 (00039926)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梅村 孝司 鳥取大学, 農学部, 助教授 (00151936)
加藤 英一 鳥取大学, 農学部, 教授 (10001520)
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Keywords | 腸炎ビブリオ / 神奈川溶血毒 / 汽水産貝類 |
Research Abstract |
1.腸炎ビブリオWP-1株から精製した神奈川溶血毒とマウスの抗毒素抗体を用いた酵素抗体法により、鳥取県の橋津川汽水域由来の腸炎ビブリオの神奈川溶血毒産生能を検討した結果、被検菌株のすべてが陽性と判定された。そこで本法の特異性を検討中である。 2.神奈川溶血毒産生菌D-3株(nal-r)を投与したイシマキガイを25℃の人工海水中で飼育した結果、塩分濃度15及び20〓の人工海水中で飼育する貝から本菌は【10^3】〜【10^4】cfu/gの濃度で21日間倹出された。神奈川溶血毒非産生菌R-13株(rif-r)でも類似の成績が得られた。大腸菌YS-2株(nal-r)は8.8〜25〓で飼育する貝から投与後2〜12日目に【10^2】cfu/gのレベルで検出された。 3.イシマキガイは腸炎ビブリオに対して特異的組識反応を示さなかった。 4.ガラスビーズ床と15〜35♯の人工海水(25℃)を入れた水槽内で飼育するヤマトシジミから神奈川溶血毒産生能の異なる3株の腸炎ビブリオは投与後14日目まで検出されたが、大腸菌YS-2株はこの期間内に消失した。 5.D-3株とR-13株をイシマキガイとヤマトシジミに混合投与した結果、両菌株とも両貝に定着し、貝の体内での両菌株間の拮抗や神奈川溶血毒産生能の変化は認められなかった。 6.35♯で飼育するアマオブネに3株の腸炎ビブリオと1株の大腸菌を各々投与した結果、いずれの菌株も72時間以内に貝の体内から消失した。 7.イシマキガイとアマオブネの血液細胞の採取と分類を試みた。貝の蓋を強く押して滲出する液をスライドグラス上に滴下して25℃60分静置すれば、血液細胞がガラス面に付着する。人工海水で洗浄後、新しい人工海水をのせて60分静置すれば、付着していた細胞がはがれて回収できることが判明した。しかしこの方法では多数の雑菌が混入するため、細胞の無菌的採取法を検討中である。
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Research Products
(1 results)