1986 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
60480098
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
嶋田 裕 千葉大, 医学部, 教授 (70009116)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
磯部 雄二 千葉大学, 医学部, 助手 (10159816)
門田 朋子 千葉大学, 医学部, 助教授 (00089864)
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Keywords | 筋細胞 / 細胞骨格 / ミトコンドリア / 小胞体 / T管 / アクチンフィラメント / 中間径フィラメント / 細胞分裂周期 |
Research Abstract |
培養筋細胞をトリトン処理により細胞膜直下の細胞骨格を露出させて走査電子顕微鏡で観察したところ、それは細胞周期にともなってつぎのような変化をすることが明らかになった。S期の細胞では膜直下に高密度で複雑な細胞骨格の網目が観察された。その殆んどは10〜15nmのフィラメントで、20〜30nmのフィラメントも認められた。前者はアクチン、後者は中間径フィラメントと考えられる。また網目中にはストレスファイバーが長軸方向に走っているのが見えた。【G_2】およびM期では細胞が球状になるにつれて細胞骨格網はより高密になり、細胞全体を包んでいるのが観察された。これとは対照的に【G_1】期の細胞では膜直下の細胞骨格は他のどの時期よりも疎であった。分裂直後の【G_1】期では細胞は未だ丸味を帯びており、膜直下の網目は不規則に入り組んだクモの巣状を呈していた。しかし細胞が紡錘形になるにつれ、長軸方向に走るフィラメントが著明になってきた。筋細胞の融合は【G_1】期に起るが、融合しつつある筋芽細胞の膜直下の細胞骨格は極めて疎であった。 凍結研磨浸軟処理をした培養筋細胞を走査電顕で観察すると、ミトコンドリアは長桿状に複雑な分岐を示しているのが見えた。T管は迂曲した走向を示し、多くのコブ状の膨らみを持っていた。筋小胞体は相互に連絡する網目をなし、ところどころで膨大し、またT管と接していた。 本研究により、分裂中の細胞外形の変化と細胞骨格の配列変化とが一致して起ることから、膜直下の細胞骨格は細胞の形と維持や変化に何らかの役割を果していることが推測された。筋細胞膜直下にある細胞骨格の網を構成するフィラメントの種類の推定や、その他の細胞骨格成分の検索には、さらに詳しい研究が必要である。また細胞内膜構造の同定と、これらと他の細胞内小器官の発生の相互関係についても、さらに詳細な観察を必要とする。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Y.Isobe;Y.Shimada: Cell Tissue Res.244. 47-56 (1986)
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[Publications] Y.Isobe;Y.Shimada: BioEssays. 4. 167-171 (1986)
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[Publications] M.Komiyama;K.Ito;Y.Shimada: Anat.Embryol.
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[Publications] Y.Shimada;S.Masuko;Y.Isobe;M.Komiyama;M.Shiozaki: Scanning Electron Microscopy.
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[Publications] 嶋田裕: 医学のあゆみ. 136. 247 (1986)
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[Publications] 増子貞彦,嶋田裕: 生体の科学. 37. 380 (1986)
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[Publications] Y.Shimada;Y.Isobe.Eds.:C.Emerson et al.: "Cytoskeletal organization in embryonic chick skeletal muscle cells in vitro revealed by the detergent-extraction,freeze-dry method.In:Molecular Biology of Muscle Development." Alan R.Liss,Inc.,N.Y., .725-739 (1986)