1986 Fiscal Year Annual Research Report
高時間分解能燐NMRによる筋収縮におけるATP利用の研究
Project/Area Number |
60480116
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Research Institution | 大分医科大学 |
Principal Investigator |
山田 和廣 大分医大, 医学部, 教授 (20053027)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 直子 大分医科大学, 医学部, 助手 (60101086)
米谷 快男児 大分医科大学, 医学部, 助教授 (20107387)
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Keywords | 筋収縮 / エネルギー変換 / アデノシン三燐酸 / 燐核磁気共鳴 / アクトミオシン |
Research Abstract |
生体の運動においては、アデノシン三燐酸(ATP)がエネルギー物質としてはたらき、化学エネルギーが運動のエネルギーに変換される。現在このようなエネルギー変換の分子的機構についての研究成果が蓄積されつつある。 一方生体におけるエネルギー変換については、化学的分析が組織の破壊を伴うことからその経時的変化を調べる上で困難が大きかった。本研究において確立された高時間分解能燐核磁気共鳴法(【^(31)P】-NMR)は、非破壊的に組織における高エネルギー燐化合物の経時的変化を調べることのできる、画期的方法である。このような方法を筋収縮の研究に用いることによって、化学的分析法によって見出すことのできなかった「収縮後のATP利用」の現象が新しく発見された。 「収縮後のATP利用」の現象は、筋肉におけるエネルギー変換機構に深く関っていると考えられる。特に本年度はこの現象が筋節長に依存すること、したがってクロスブリッジにおけるATP分解に由来することが確かめられた。またこの現象の速度は温度に非常に大きく依存することが確かめられたが、この事実もこの現象がクロスブリッジにおける反応に由来することを強く示している。これまで、クロスブリッジにおけるATPの加水分解反応の分子的機構の研究は抽出分離したアクトミオシンの溶液内での反応に依っていたが、燐NMR法を用いて生きた筋細胞についてこれを調べることが可能となった。本研究によって見出された、筋細胞におけるエネルギー変換の諸特性は、筋収縮および生体エネルギー変換の機構を解明する上で大きな意味を持っている。本研究の燐NMR法を用いて、アシドーシスの収縮にたいする影響、脳切片を用い脳におけるエネルギー供給の研究および筋ジストロフィー症モデル動物筋におけるエネルギー状態の研究が進行中である。
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[Publications] Y.KAWANO: Journal of Physiology,London. 377. 99P (1986)
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[Publications] T.KITANO: Journal of Physiology,London. 377. 98P (1986)
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[Publications] K.YAMADA: Nature.
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[Publications] T.KITANO: Journal of Physiology,London.
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[Publications] K.YAMADA: Journal of Physiology,London.
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[Publications] K.YAMADA: Journal of Physiology,London.
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[Publications] 山田和廣: "新生理科学大系 第4巻 筋肉の生理学" 医学書院,東京, 20 (1986)
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[Publications] K.YAMADA: "Contractile Mechanisms in Muscle." Plenum Press,New York,