1986 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト膀胱粘膜病変の加齢による推移に関する病理学的研究
Project/Area Number |
60480147
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
伊東 信行 名古屋市大, 医学部, 教授 (00079956)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
津田 洋幸 名古屋市立大学, 医学部, 講師 (10163809)
福島 昭治 名古屋市立大学, 医学部, 助教授 (00137077)
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Keywords | 膀胱 / ブルン細胞巣 / 腺性膀胱炎 / 扁平上皮化生 / 円柱上皮化生 / 上皮過形成 / 上皮異形成 |
Research Abstract |
ヒト膀胱における前癌病変や更に癌に至る諸変化を解明するために剖検例の膀胱を展開固定し、粘膜全体を病理組織学的に検索し、各病変の分布と加齢による推移を検討すると共に、手術例より得られた材料を用いて、膀胱粘膜の酵素組織化学および免疫組織化学を行なった。 その結果、本年度では肉眼的正常剖検膀胱及び小粘膜腫瘍の4例を追加検索し、総計315例の膀胱についてのデーターとなった。増殖性病変としてのブルン細胱巣と腺性あるいは、嚢胞性膀胱炎、化生性病変である扁平上皮化生および円柱上皮化生、それに上皮過形成(男31例、女13例)、異形成男13例、女7例)および上皮内癌(男1例)の種々の病変について各膀胱をマッピングし、詳細に検討したところ、上皮異形成に随伴してよく見られた病変はブルン細胞巣や腺性膀胱炎であった。ブルン細胞巣や腺性膀胱炎は年令に関係なく高頻度にみられており、化生性病変と同様に異形成や腫瘍性病変の発生と直接関係のないことが判明した。2例の膀胱腫瘤は非角化重層扁平上皮が乳頭状増殖を示したもので扁平上皮乳頭腫を思わせたが免疫組織化学的にパピローマウイルスの抗原を上皮細胞の核内に認め、膀胱の尖圭コンジローマと診断された。 正常膀胱粘膜の酵素組織学的検索の結果、G6Pデヒドロゲナーゼが陽性を示した他はアルカリフォスファターゼ、酸フォスファターゼ、β-グルクロニダーゼ、コハク酸デヒドロゲナーゼおよびG6Pアーゼが弱陽性であった。γ-グルタミールトランスペプチダーゼとATPアーゼは陰性であった。免疫組織化学検索ではグルタチオンS-トランスフェラーゼのπ型が強陽性を示したがμ型とI型は弱陽性、チトクロームP-450のb型が弱陽性、a型、c型、d型が陰性、エポキシドヒドラーゼは陰性であった。
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[Publications] Ikawa E.: Cancer Lett.31. 53-60 (1986)
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[Publications] Fukushima S.: Cancer Res.46. 1623-1626 (1986)
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[Publications] Hasegawa R.: J.Urol.136. 901-902 (1986)
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[Publications] Ito N.: Toxicol.Pathol.14. 315-323 (1986)
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[Publications] Kurata Y.: Cancer Lett.32. 125-135 (1986)
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[Publications] 伊東信行: 日病会誌. 75. (1986)
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[Publications] Ito N.T.C.Jones,U.Mohr,R.D.Hunt(eds.): "Monographs on Pathology of Laboratory Animals Sponsored by the International Life Sciences Institute.Urinary System" Springer-Verlag, 5 (1986)
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[Publications] Ito N.T.C.Jones,U.Mohr,R.D.Hunt(eds.): "Monographs on Pathology of Laboratory Animals sponsered by the International Life Sciences Institute" Springer-Verlag, 4 (1986)