1986 Fiscal Year Annual Research Report
"肉芽腫"形成機序の実験病理学的解明-MRL/lprマウスを中心に-
Project/Area Number |
60480150
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
京極 方久 東北大, 医学部, 教授 (70025542)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村上 一宏 東北大学, 医学部, 助手 (90190876)
宮沢 正顕 東北大学, 医学部付属病院, 助手 (60167757)
沢井 高志 東北大学, 医学部, 助手 (00125577)
能勢 真人 東北大学, 医学部, 助教授 (70030913)
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Keywords | 肉芽腫 / マクロファージ / リンパ球 / 遺伝的背景 / Class【II】抗原 / IL-1 |
Research Abstract |
難病の半ばを占める難治性炎症性疾患の多くは"肉芽腫"性疾患なので、この破壊性,進行性の悪性肉芽腫の成立機序を、免疫学的ネットワークの異常といった視点から解析して行くのを目的とした研究である。 本年度の成果は次の4つにまとめられる。 1.肉芽腫性動脈炎,慢性関節炎,糸球体腎炎を同時に発生するMRL/Mp-1pr/1prマウス。その病変は全て異常に活性化されたマクロファージとそれを取り巻くリンパ球から成る肉芽組織により構成されている。これまでの検索で、このマクロファージは大量の免疫複合物を貪食するが胞体内では消化出来ず、逆にそれが刺激になって、分解酵素を細胞外に放出し周囲の組織を破壊することが明らかになった。そしてその特性はこのマウスの1pr geneによって増殖したリンパ球によって支配されていることが確認された。 2.しかしまた一方ではこの1pr geneを他系のマウスに導入したCongenic mouseではリンパ球は増えてもマクロファージの機能は変らず肉芽腫性炎も出来ないことが明らかになり、1pr geneは一種の促進遺伝子で、病変の真の責任遺伝子はMRLの背景の中にかくれているものと考えられる。 3.C57BL/6-1pr/1prとMRL/Mp-1pr/1prのMRL側へのBackCrossによって、腎炎と動脈炎をそれぞれ単独に発症する個体が、かなりの数出て来たので、この二つの疾病は異った遺伝的背景によることが示唆された。 4.ヒト肉芽腫性炎の局所の間葉系細胞は常にClass【II】抗原を強く表現していることが明らかとなり、同時にIL-1の放出も確かめられた。今後の解析に関心が持たれる。
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[Publications] 京極方久: 代謝. 23. 3-13 (1986)
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[Publications] 京極方久: 最新医学. 41. 2004-2013 (1986)
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[Publications] 京極方久: 実験医学. 4. 25-32 (1986)
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[Publications] 京極方久: 感染・炎症・免疫. 17. 15-30,42-43 (1987)
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[Publications] 村上一宏,能勢真人: 免疫薬理. 4. 157-164 (1986)
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[Publications] Nose,M.;Tachiwaki,O.;Kyogoku,M.: New Horizon in Animal Models for Autoimmune Disease. (1987)
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[Publications] Wigzell,H.;Kyogoku,M.: "New Horizons in Animal Models for Autoimmune Disease" Academic Press, 500 (1987)