1986 Fiscal Year Annual Research Report
腎症候性出血熱ウイルス感染ラットに関する実験病理学的研究
Project/Area Number |
60480153
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
伝法 公磨 札幌医大, 医学部, 助教授 (00045444)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今村 正克 札幌医科大学, 医学部, 助教授 (30045398)
森 道夫 札幌医科大学, 医学部, 教授 (00045288)
浦沢 正三 札幌医科大学, 医学部, 教授 (00045379)
橋本 信夫 北海道大学, 獣医学部, 教授 (60082103)
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Keywords | 腎症候性出血熱(HFRS) / SR-11株ウィルス / 感染実験 / 免疫組織化学的研究 / ABC法 |
Research Abstract |
生後24時間以内の新生仔と6週令のラットに、動物当たりSR-11株の【10^3】FFUを腹腔内と経鼻経路を投与し、10週間飼育観察を行なった。 1.異なる感染経路によるウィルス接種でも、ウィルスの局在は同様の臓器内分布を示した。 2.腹腔内接種をされた新生仔ラットは、感染後3週で脳炎を発症し、25日までに全例死亡した。経鼻感染では、脳炎の発症はみられなかった。しかし、組織学的にウィルスの臓器内分布は同様で、肺胞中隔,肝のクッパー細胞,脾やリンパ節の細網細胞,唾液腺上皮,腎の糸球体の他に、大脳,小脳の神経細胞と河馬回にある層状の神経核のほとんどの神経細胞に感染が認められた。死亡例においては感染細胞数も多く、染色性の増強が認められた。この程度の差は、体内に接種されたウィルス数の違いによるものと考えられた。腎に陽性に認められたことは、尿に排泄されることを示唆し、唾液腺に陽性になったことは、ラットの咬傷によって感染することを裏付けるものである。新生仔ラットにおいては抗体価は低く、抗原との共有例も認められた。 3.生後6週令の成熟ラットに腹腔内接種し、4週後におけるウィルス抗原の局在をみたところ、肺から抗原が検出された。しかし経鼻投与群では検出されなかった。これは、接種されたウィルスの数の違いによるものと考えられた。どちらの群でも、他の臓器にはウィルス坑原は検出されず、血中には高い抗体価の上昇が認められた。 4.以上から、自然界において感染動物から排出された唾液,鼻汁,尿などに含まれたウィルスが、感受性動物との濃厚な接触に際して、鼻腔や口腔から吸入されて気道感染をおこしたり、皮膚などの創傷部位からの感染が考えられる。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 有川二郎,橋本信夫,浦沢正三,伝法公麿: 医学のあゆみ. 126. 236-238 (1983)
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[Publications] 伝法公麿,今村正克,森道夫,浦沢正三,橋本信夫: 臨床と病理. 4. 445-446 (1986)
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[Publications] Imamura,M.;Dempo,K.;Arikawa,J;Hashimoto,N.: Arch.Virol.
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[Publications] Kawamura,K.;Hashimoto,N.;Dempo,K.: 日本獣医学会誌.
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[Publications] Kawamura,K.;Hashimoto,N.;Dempo,K.: 日本獣医学会誌.
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[Publications] 伝法公麿,森道夫,今村正克: 札幌医学雑誌.