1986 Fiscal Year Annual Research Report
細胞機学的手法によるリンパ球での遺伝子発現機構の解析
Project/Area Number |
60480178
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Research Institution | Medical Institute of Bioregulation, Kyushu University |
Principal Investigator |
渡辺 武 九大, 生体防医研, 教授 (40028684)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
工藤 明 九州大学, 生体防御医学研究所, 助手 (70178002)
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Keywords | 細胞特異的遺伝子発現 / 免疫グロブリン遺伝子 / エンハンサー / ゲルシフトアッセイ / マイクロインジェクション / DNA結合蛋白 |
Research Abstract |
クローン化したヒト【Γ_1】-heavy chain遺伝子(HIG1)をマウス骨髓腫細胞に導入して作製したトランスファーマントでは、HIG1遺伝子の発現が強く起こるが、その発現にはJ-Cイントロン中のエンハンサー領域および5'プロモーター上流域の塩基配列が重要である。ゲルシフトアッセイおよびfootprint法により、プロモーター領域の特異的8塩基配列を認識して結合する蛋白が二種類存在し、一つは多くの種類の細胞にもう一つはB細胞のみに存在する事がわかった。また類似の8塩基配列はエンハンサー領域にも存在するがそれらを認識して結合する蛋白も同定された。更にエンハンサー領域中央部の11塩基配列を特異的に認識するDNA結合蛋白が骨髓腫細胞核蛋白中に同定された。HIG1遺伝子を組み込んだL細胞(線維芽細胞)ではHIG1遺伝子の発現は全く起らないが、骨髓腫細胞核蛋白を赤血球ゴースト法を用いたマイクロインジェクション法を応用する事によりHIG1遺伝子の発現を誘導し得る。このHIG1遺伝子の転写発現を誘導し得る核蛋白は分子量5万〜10万の分子で主としてB細胞核に存在している事が明らかになった。ヘパリンアガロースカラム,DNAカラムにより精製し現在比活性にして5000倍まで上昇した。さらに精製を進めると共にエンハンサー領域に作用してHIG1遺伝子の発現を誘導する核蛋白のCDNAクローニングを行っている。また5′プロモーター領域に結合する核蛋白をそれらDNA領域をプローブとしてCDNAクローニングにより遺伝子の同定を行っている。 本研究では、免疫グロブリン遺伝子の細胞特異的遺伝子発現をコントロールしているトランスアクティングな核蛋白の存在を明らかにする事が出来た。今後はこれら核蛋白をコードする遺伝子の構造を明らかにし、分化と遺伝子発現制御の関連について解明してゆく。
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[Publications] A,Kudo,et al.: Gene. 33. 181-189 (1985)
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[Publications] A.Kudo,et al: Journal of Immunology. 135. 642-645 (1985)
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[Publications] T.Watanabe,et al: Lymphokines. 12. 239-257 (1985)
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[Publications] H.Maeda,et al.: Cell. 45. 25-33 (1986)
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[Publications] K.Yamamura,et al.: Proceedings of National Academy of Science,USA. 83. 2152-2156 (1986)
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[Publications] Y.Nishimura,et al.: Cancer Research. 47. 999-1005 (1987)
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[Publications] M.Motomura,et al.: Molecular Immunology. in press. (1987)
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[Publications] S.Matsuhashi,et al.: Experimental Cell Biology. in press. (1987)
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[Publications] H.Maeda,et al.: Nucleic Acid Research. in press. (1987)