1987 Fiscal Year Annual Research Report
高速自動車道周辺居住区における浮遊粉塵の同定とその吸着特性についての研究
Project/Area Number |
60480188
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
佐々木 武史 滋賀医科大学, 医学部, 教授 (00079740)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
喜多 義邦 滋賀医科大学, 医学部, 助手 (80161462)
山川 正信 滋賀医科大学, 医学部, 助手 (70110567)
西田 耕之助 京都大学, 工学部, 助教授 (30025952)
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Keywords | 浮遊粉塵 / 多環芳香族炭化水素 / 高速道路 / 粒度分布 |
Research Abstract |
1.(既吸着物質の測定) これまでの高速道路周辺環境における浮遊粉塵に関する調査によって, 環境影響として主体となる浮遊粉塵の粒径は0.7μm以下の粒子であることが確認された. また, 各浮遊粉塵の粒度と車種別交通量との関係から, 0.7μm以下の粒子の濃度変動は大型ディーゼル車に強く依存していることが認められた. 本年度において, 浮遊粉塵の各粒度ごとに高速液体クロマトグラフィーによる同定および定量を試みたところ, 発ガン物質として知られているB(a)P等の多環芳香族炭化水素が同定され, その濃度分布は, 粒径が小さくなるに従って増加し, 特に1.6μm以下の粒子で極めて高濃度に存在することが認められた. 2.(浮遊粒子状物質の拡散性状について) 本調査において浮遊粒子物質の拡散性状を把握するため, 浮遊粒子状物質と同時に継続して測定した窒素酸化物と浮遊粒子状物質との相関性を検討したところ, 粒径が小さくなるに従ってその拡散挙動はガス状汚染物質に近づく傾向を認めたものの, 1.6μm以上の粒子については重力沈降による影響は無視できず, これに対して1.6μm以下の粒子においては, 相関係数0.7以上と有意に高い相関を示し, この粒径以下においてはその拡散挙動をガス状汚染物質と同様に説明し得ることが明らかとなった. 3.(高速道路隣接居住区住民に対する環境汚染についての意識および健康状態についての調査) 名神高速道路から200m以内に居住する児童を対域に, 個人面接法により実施した. 調査対象は男82名, 女65名, 計147名である. なお, 環境汚染の意識については児童の親を対象とした. 環境影響として早急な対策が望まれるものとして, 騒音が最も多く74.3%であり, 次に排気ガスの62.1%の順であった. また, 児童の呼吸器に関して, 環境影響に由来すると考えられる有症状率は, 7.5%と他の調査に比べて極めて高率であった.
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