1986 Fiscal Year Final Research Report Summary
労働環境の改善を目的とした騒音作業場の音場解析と作業者の聴力損失
Project/Area Number |
60480189
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
公衆衛生学
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山本 剛夫 京大, 工学部, 教授 (30025811)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平松 幸三 京都大学, 工学部, 助手 (70026293)
高木 興一 京都大学, 工学部, 助教授 (50026077)
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Project Period (FY) |
1985 – 1986
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Keywords | 聴力損失 / PTS / 産業騒音 / 語音聴力検査 / 工場騒音測定 |
Research Abstract |
京都府下の騒音作業に勤務する者約1900名の聴力検査を実施し、かつそのうちの約370名につき、その勤務する作業場内の騒音レベルを測定した。また、作業者の騒音暴露量をより正確に把握するため、作業者の個人騒音暴露量を測定し、一方、作業場の複数地点で騒音レベルを測定し、両者の関連につき検討した。以上の結果から、騒音暴露量と純音聴力損失の関係について検討するとともに、諸家の提唱する騒音性聴力損失の推定法につき考察した。さらに、騒音の許容基準を作成する場合に不可欠である純音聴力損失と言語聴力障害との関係についての資料を得るため、歪語音による語音聴力検査を実施した。 以上の調査ならびに実験を行った結果、以下の結論を得た。(1)作業場内の騒音レベルを複数地点で測定した場合には、測定値をパワー平均した値を騒音レベルの代表値とすべきである。(2)騒音暴露と聴力損失との間に一定の関係が認められ、被験者のオージオグラムに【C^5】dipが認められた。(3)諸家のNIPTSの推定法を比較した結果、現在案文が各国に回覧されているISO/DIS1999の推定法は、NIPTSを過小に評価することが明らかとなった。(4)歪語音を用いて、騒音負荷時の語音聴力検査を行った結果、軽度の騒音性難聴者は、単音明瞭度の低下が小さく、また騒音負荷によっても明瞭度の増悪が進行しにくいことが知られた。 以上の成果をふまえて、今後は次の課題を検討すべきであると結論した。(1)健常者の聴力検査を実施し、presbyacusisを把握すること、(2)騒音作業従事者の騒音暴露量を適確に把握すること、(3)文章などのより複雑な語音を用いた了解度の測定を行い、比較的軽度な聴力損失を有する者の言語聴力障害を明らかにする方法を開発すること。以上。
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