1986 Fiscal Year Annual Research Report
二重房室伝導経路の臨床電気生理学的所見の経年的変化およびその臨床的意義
Project/Area Number |
60480234
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
橋場 邦武 長崎大, 医学部, 教授 (40039483)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木谷 文博 長崎大学, 医学部, 助手 (20108301)
深谷 眞彦 長崎大学, 医学部, 講師 (70039551)
矢野 捷介 長崎大学, 医学部, 講師 (50039864)
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Keywords | 二重房室結節伝導路 / 房室結節リエントリー性頻拍 / 薬理学的自律神経遮断 / Ca拮抗薬 / 速伝導路 |
Research Abstract |
二重房室結節伝導路(dAVNPW)は、房室結節リエントリー性頻拍の機序となり得るものではあるが、房室結節の機能的縦解離によるものか、あるいは器質的解剖学的異常によるものかが問題となっている。また、通常型の房室結節リエントリー性頻拍の逆行伝導路となる速伝導路に関しては、これが房室結節内経路か、結節外伝導路であるかについても論義がある。そこで、臨床電気生理学的および薬理学的にこれらの問題点について検討した。 対象および方法:臨床心臓電気生理検査にて順行性にdAVNPWが診断された32例であるが、17例にはいわゆる薬理学的自律神経遮断(propranolol 0.2mg/kg+atropine 0.04mg/kg静注)を行い、別の15例にはCa拮抗薬(diltiazem 0.4mg/kg,あるいはverapamil 0.1mg/kg)を静注して、薬剤静注前後の臨床電気生理検査の結果を対比検討した。 結果:(1)薬理学的自律神経遮断を行った17例中14例には遮断後もdAVNPWを認めた。(2)自律神経遮断後もdAVNPWを認めた14例では、速伝導路有効不応期が遮断後に短縮傾向を示した他は、遅伝導路有効不応期やjumpの大きさはほゞ不変であった。(3)遮断前に房室結節リエントリーが誘発された5例のうち、遮断後に誘発されなくなったのは1例のみであった。(4)dAVNPWのうちの速伝導路に対するCa拮抗薬の効果であるが、速伝導路の順伝導有効不応期は15例中14例で延長したが、逆伝導不応期の場合はその効果が一様でなく、著名な延長例がある一方では短縮例も存在した。速伝導路に対するCa拮抗薬の効果が順伝導と逆伝導で全く異なる例が少なくなかった。 以上の結果から、dAVNPWは自律神経の影響によらない房室結節の構造的な原因によるものが多いことが示唆され、また、逆行伝導路となる速伝導路には副伝導路的性質を有する経路もあるように思われた。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 深谷真彦: 心電図. 6巻4号. 487 (1986)
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[Publications] 谷川宗生: 心臓ペーシング. 2巻2号. 236-237 (1986)
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[Publications] 深谷真彦: Coronary. 3巻4号. 424-430 (1986)