1986 Fiscal Year Annual Research Report
乳児ビタミンK欠乏性出血症の誘因としての無症候性肝機能障害に関する研究
Project/Area Number |
60480246
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
白木 和夫 鳥取大, 医学部, 教授 (60010229)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大関 武彦 鳥取大学, 医学部, 助教授 (20152126)
笠置 綱清 鳥取大学, 医療技術短期大学部, 教授 (40032338)
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Keywords | ビタミンK / 乳児ビタミンK欠乏性出血症 / 肝機能障害 / 胆汁酸 |
Research Abstract |
乳児ビタミンK欠乏性出血症の発症には、母乳中のビタミンK含有量、腸管におけるビタミンKの吸収、および吸収されたビタミンKの肝臓における利用の3つの因子が関与していると考えられる。前年度の研究で本症発症例において、血清セルロプラスミンなどがむしろ上昇し、胆汁うっ滞が本症発症に関与していることを強く示唆する結果を得た。 今年度は、乳児ビタミンK欠乏症例における血清胆汁酸の分析を行い、本症発症要因としての肝内胆汁うっ滞について検討した。乳児ビタミンK欠乏症例9例における血清総胆汁酸値は、対照のヘパプラスチンテスト正常例30例に比し、5%の危険率で有意に高値を示した。胆汁うっ滞の指標となるC/CDC比も5%の危険率でビタミンK欠乏群で有意に高値であり、総胆汁酸の高値は胆汁うっ滞によるものと考えられた。検出された胆汁酸は、ほとんどの症例で、コール酸およびケノデオキシコール酸が主であり、一部の症例に微量の二次胆汁酸およびβ-OH-5-コレン酸を検出した。ビタミンK穴乏症例ではグリシン抱合型およびタウリン抱合型の上昇が著しく、胆汁酸の尿中排泄に重要と考えられる硫酸抱合型およびグルクロン酸抱合型の割合が有意に低値であり、胆汁酸排泄障害により、さらに胆汁うっ滞が強されるという悪循環を形成していることが推測された。本症の発生が生後4週前後に集中している事実についての説明は未だ不明であるが、血清胆汁酸値はこの時期に生理的に最大となることが報告されており、この時期と本症の発生時期が一致している事実も、本症の発症に胆汁酸排泄障害によるビタミンK吸収不良が関与していることを示唆する。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 山田一仁,白木和夫: 小児科. 27. 215-219 (1986)
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[Publications] 山田一仁,谷本要,白木和夫,飯島憲司,中村克己: 最新検査. 4. 79-85 (1986)
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[Publications] 門野勉,新沢毅,白木和夫: 周産期医学. 17. 255-258 (1987)
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[Publications] 山田一仁,白木和夫: 小児科診療. 50. 257-260 (1987)