1986 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
60480258
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
山下 格 北海道大学, 医学部, 教授 (60000923)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小山 司 北海道大学, 医学部, 講師 (10113557)
三國 雅彦 北海道大学, 医学部附属病院, 講師 (00125353)
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Keywords | アルコール症 / 毛根 / ALDH-1 |
Research Abstract |
アルコール代謝に重要な役割をもつアセトアルデヒド脱水素酵素タイプ1(ALDH-1)とアルコール症との関係を明らかにする目的で研究を続行し、その成果を公表してきた。 日本人健康成人(117名),アルコール症患者(113名),精神分裂病患者(82名)からそれぞれの同意を得て採取した約20〜30本の毛根を試料としてALDHのisozymeを等電点電気泳動法により分析した。台湾およびフィリピンにおいて、理解を得て同様の方法で共同研究を施行した。またアジア地区以外のWHOセンターと連絡をとり、ヨーロッパ(57例),アラブ(31例),オーストラリア(12例),インド(26例),メキシコ(20例)から急送された健康成人および精神分裂病患者の毛根146例についてALDH isozymeを分析した。その結果(1)ALDH-1の欠損が習慣飲酒およびアルコール症の形成を抑制すること,(2)我国を含むアジア地域を除く大部分の人種でALDH-1の欠損例がないことが推論できた。成果は、第15回国際神経精神薬理学会におけるシンポジウムで発表した。その内容はLancet誌に掲載予定となっている。 さらにALDH-1の欠損例の存在が想定されるアジア地区においては、北京大学・沈漁村主任教授のもとでの中華人民共和国少数民族についての検討,京城国立大学・Yong Sik Kim助教授のもとでの韓国におけるアルコール症患者についての検討が今後予定されている。両施設からはともに文書で依頼があり、計画実現の可能性は高いと考えられる。また従来から共同研究を行なってきた台北大学・葉教授から台湾の少数民族である高砂族についての検討が提案されている。 これまでの成果に、これらの研究を加えて統括することにより、ALDH-1の欠損という生物学的指標とアルコール症との関係がより詳細に解明されることが期待できる。
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Research Products
(2 results)