1986 Fiscal Year Annual Research Report
Fmθによる不安水準の客観的評価と不安の生物学的基盤の解明
Project/Area Number |
60480262
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
水木 泰 山口大, 医学部, 助教授 (00080721)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
錦織 悟 山口大学, 医学部附属病院, 医員
牛島 逸子 山口大学, 医学部, 助手 (30168679)
山田 通夫 山口大学, 医学部, 教授 (00034942)
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Keywords | 脳波 / 加算作業 / Fmθ / 不安 / ストレス / 血漿カテコラミン / 精神分裂病 / 神経症 |
Research Abstract |
35名の精神分裂病患者を対象に、10週間のうちFmθが2週連続して出現するまで1週間に1回づつ5分間の加算作業中の脳波と、STAIのState Anxietyの記録を行った。また初回検査時、および連続してFmθが出現した2週目あるいはFmθが出現しなかった10週目には、STAIのTrait Anxietyの記録と血中のDA,HVA,プロラクチンの濃度を測定した。この間BPRSを用いて患者の症状評価を1週間に1度行った。その結果、精神分裂病患者においてもFmθが出現するものとしないものとが認められた。Fmθが出現した群では陽性症状が強く、試験期間中しだいに症状が軽快した。またFmθ出現群でのDAとHVAの値は低く、プロラクチン値は高い傾向にあった。逆にFmθが出現しなかった群では陰性症状が強く、試験期間中に症状の変化はあまり見られなかった。またFmθ非出現群でのDAとHVAの値は出現群より高く、プロラクチン値は低い傾向にあった。 28名の不安神経症と抑うつ神経症の患者を対象に、10週間のうちFmθが2週連続して出現するまで上記と同様の方法で試験を行った。ただ症状の評価にはHamiltonのAnxiety Rating ScaleとDepression Rating Scaleを使用し、測定した血漿中のカテコラミンはNAとMHPGである。その結果、ほぼ全例にFmθが出現し、Fmθが出現し始めた時点で症状の著明な改善が認められた。また試験開始前のNAとMHPGの値と比較して、Fmθ出現後のそれらの値は有意に低下した。 中枢神経作用薬を使用した正常被験者での検討は現在進行中であるが、これまでに得られた結果から、Fmθは不安水準の評価に有用な指標となるばかりでなく、臨床症状の軽減の目安にもなり得ることが示唆された。また不安成立の機序として、不安の強いヒトはDA系およびNA系の代謝が高い水準にあり、特にストレスに対してNA系の代謝回転の亢進により対応することも示唆された。
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