1986 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
60480301
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
鈴木 敞 京大, 医学部, 助教授 (20026834)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮下 正 京都大学, 医学部, 助手 (80182020)
真辺 忠夫 京都大学, 医学部, 講師 (80127141)
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Keywords | 膵広範切除 / トリプシンインヒビター / 膵栄養効果 / 迷走神経切断 / 交感神経切除 / 膵再生 / 消化管ホルモン / 膵癌 |
Research Abstract |
膵癌をはじめ種々の膵疾患に膵広範切除が広く施行されるにつれ、術後の機能障害に対する対策が急務となっている。そのために、切除後残存膵の機能的、器質的再生を企て、もって術後障害を是正する必要がある。 実験的にトリプシンインヒビター(以下T【I】)の経口投与をつづけると、ネガティヴフィードバック機構を介してCCKなどの消化管ホルモンが放出し、それにより正常膵は栄養効果を受けて再生肥大することが知られている。そこで、昨年度来ラットを用いて85%膵切除を施行し、T【I】0.5mgを1mlの飲料水に混ぜ数週に亘り経口投与したところ、この広範切除されたあとの残膵においても膵栄養効果は発現し、膵外分泌機能もインスリン分泌機能もともに有意に是正されるのを確認した。 さらに癌手術の際の神経郭清のモデルとして、上記効果が郭清操作によって神経支配の遮断された種々の膵臓においても発現するか否かを檢討した。 Wister系雄性ラットを用い正常膵群と85%膵切除群に2分別し、それぞれを、無処置群、単独T【I】投与群、迷走神経切断プラスT【I】投与群,交感神経切除プラスT【I】投与群の4群に細分、術後6週目に膵重量,膵DNA,RNA量,膵内蛋白量を測定し比較した。 その結果、正常膵に対するT【I】の栄養効果は、迷走神経切断、交感神経切除により影響をうけないことが判明した。さらに大量膵切除後の残存膵の再生促進にも、これら神経切離は障害作用を及ぼすことはなく、逆に効果助長作用がみられるものもあった。 来年度はこの神経郭清の膵再生促進作用につきさらに詳細に檢討していく予定である。
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[Publications] 鈴木敞: 日本医師会雑誌. 94. 1527-1532 (1985)
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[Publications] 宮下正 ほか: 肝胆膵. 12. 47-53 (1986)
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[Publications] 真辺忠夫 ほか: 日外会誌. 87. 1169-1172 (1986)
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[Publications] Inoue,K.et al: Ann.Surg.(1987)
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[Publications] Suzuki,T.: Asian Med.J.(1987)
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[Publications] Inoue,K.et al: Neuro peptides. 7. 207-217 (1986)
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[Publications] 鈴木敞: "閉塞性黄疸と多臓器障害" 金原出版株式会社, 200 (1986)
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[Publications] 鈴木敞: "消化器外科セミナー25膵癌の診断と治療" へるす出版, 304 (1986)