1986 Fiscal Year Annual Research Report
心肺蘇生での脳組織酸素分圧と脳循環動態の相関する研究
Project/Area Number |
60480351
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
岡田 和夫 帝京大, 医学部, 教授 (30082093)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菊田 好則 帝京大学, 医学部・麻酔科, 助手 (30129994)
川端 博秋 帝京大学, 医学部・麻酔科, 助手 (60152998)
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Keywords | 脳局所血流 / 脳組織酸素分圧 / 脳虚血 / 出血ショック / 頚動脈血流 / 眼瞼結膜酸素分圧 / 脳蘇生 |
Research Abstract |
脳虚血モデルを開胸して大静脈、大動脈起始部にそれぞれクラープをかけて作成することに成功した。これで任意の時間を脳虚血にすることが可能になった。開頭術をあらかじめ施行して三菱レーヨンKK製酸素分圧測定セーサーを脳皮質及び深部に挿入し、同時に同じ場所に水素クリアランス法、熱勾配電極法による脳局所血流測定センサーを挿入して血流測定を行った。さらに頚動脈に血流計を装着して頚動脈血流を眼瞼結膜酸素分圧をオレンジ・メデカル社製酸素分圧測定装置にて測定した。開胸による脳虚血時間に応じてのこれらのパラメーターがどのように変化するかを観察し、虚血解除後の脳局所血流と組織酸素分圧の変動を比較した。皮質と脳深部とではこの回復に差があり、脳深部での戻りが早いような所見であった。頚動脈血流とは同じ傾向がみられなかった。眼瞼膜【Po_2】と最もよく相関したのが頚動脈血流であった。脳虚血で急激に下降し、虚血解除で両者は平行して上昇を示した。眼瞼結膜【Po_2】測定が脳頚動脈血流を反映し臨床での有用な指標になることを明らかにすることが出来た。この完全虚血に対して出血ショックでの変動をみると、脱血により全部のパラメーターが下降するが虚血の時よりその程度が軽かった。また還血した時にはオーバー・シュートの所見はみられなかった。脳循環の自動調節能に関しての考案をすると、脳虚血の度合が増せばこの調節能が低下してきた。ショックでも血圧レベルが低く且つ長時間になると、還血後の調節能が充分に働らかないようである。脳蘇生を目的として各種の薬剤が応用されているが、かかるパラメーターをもとに効果をみることを試みている。今回はパパベリン(血管拡張の直接作用が著しい)、アデノシン・ボテンシェーターのデイラゼップについてショック及び脳虚血での効果を検討した。
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[Publications] 岡田和夫: 日本災害医学会誌. 33-10. 711-722 (1985)
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[Publications] 梶山研三,福永敦翁,川端博秋,手塚新吉,菊田好則,岡田和夫: 第5回日本蘇生学会総会 昭和61年.
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[Publications] 菊田好則,郡彰一,岡田和夫,福永敦翁: 第6回日本臨床麻酔学会総会 昭和61年.
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[Publications] 梶山研三,岡田和夫: 第34回日本麻酔学会総会 昭和62年.
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[Publications] 菊田好則,岡田和夫: 第6回日本ショック学会総会 昭和62年.
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[Publications] 森恒音羽,岡田和夫: 第6回日本ショック学会総会 昭和62年.
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[Publications] 岡田和夫: "血管拡張薬の使い方。強心薬,血管拡張薬とその補助手段による治療。昇圧薬,強心薬とショックの治療" 南江堂, 8517,239-24 (1987)