1987 Fiscal Year Annual Research Report
糖尿病眼合併症と新治療薬アルドースリダクターゼ阻害剤ー基礎的研究ー
Project/Area Number |
60480390
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
糸井 素一 京都府立医科大学, 医学部(眼科学), 教授 (80052976)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
照林 宏文 京都府立医科大学, 医学部(眼科学), 助手 (20192205)
赤木 好男 京都府立医科大学, 医学部(眼科学), 講師 (70133189)
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Keywords | アルドース環元酵素阻害剤(ARI) / ガラクトース白内障 / 糖尿病性白内障 / 免疫組織化学的観察 |
Research Abstract |
世界で開発されているアルドース還元酵素阻害剤(ARI)の中で最も強力とされていたヒダントイン誘導体系薬剤(ソルビニール, Mー79175など)は, ヒトに対して投与すると, 皮膚発診などの副作用が出現したことから現時点で臨床応用されることは困難となってきた. それに代わって注目されている薬剤はカルボン酸誘導体である. われわれは, この中で最も代表的や薬剤であるICI 128,436(Statil, ICI, UK)の実験的ラット糖白内障に対する効果を観察した. ガラクトース白内障は25%ガラクトース含有食餌を投与, 糖尿病性白内障はストレプトゾトシン経尾静脈投与をそれぞれ生後3週齢ラットに対し行い作成した. 結果としてStatilは両白内障発症を抑制した. さらにいったん発症した白内障を治癒せしめた. 一般的なARIの白内障に対する効果は極めて劇的で動物実験といえども過去において前例はない. また, ARIにより主たる白内障治癒機転は赤道部における再生線維の新たなる崩壊抑制である. その結果, 治癒はまず赤道部から起こり, 次に前皮質, 最後に後皮質が修復されることが判明した. 動物実験でこのように劇的な効果を有するARIもヒトに対しても同様な効果を持つかどうかは不明である. なぜならヒト糖尿病性白内障もARが起因酵素として発症しているかどうかが判らないからである. 従ってわれわれは, 糖尿病症例に対する白内障嚢内摘出術によってえられた水晶体に抗ヒトAR血清を用いた免疫組織化学的観察を行った. 約三分の一の症例に正常水晶体でみられた上皮ならびに表層皮質のAR局在に加え, 前・後皮質の表層に糖白内障ラットで観察されたと全く同様の異常局在が認められた. これらの事実からわれわれはヒト白内障もARが起因酵素となって発症する可能性が極めて高いと結論した. つまり, ARIによってヒト糖尿病性白内障が治療できる可能性もあることを示唆した.
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Research Products
(13 results)
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[Publications] Y.AKAGI: Investigative Ophthalmology. 28. 163-167 (1987)
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[Publications] 赤木好男: 日本眼科紀要. 38. 217-221 (1987)
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[Publications] 赤木好男: 日本眼科紀要. 38. 354-357 (1987)
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[Publications] 宮本嘉久: 日本眼科紀要. 38. 900-906 (1987)
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[Publications] 茨木信博: 日本眼科紀要. 38. 359-365 (1987)
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[Publications] 赤木好男: 日本眼科紀要. 38. 366-370 (1987)
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[Publications] 前田耕志: 日本眼科紀要. 38. 1371-1376 (1987)
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[Publications] 照林宏文: 日本眼科学会雑誌. 92. 151-155 (1988)
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[Publications] 岡本庄之助: 日本眼科学会雑誌. 92. 161-165 (1988)
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[Publications] Y.AKAGI: Excerpta Medica. 237-243 (1988)
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[Publications] Y.AKAGI: Excerpto Medica. 237-243 (1988)
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[Publications] K.MAEDA: Excerpta Medica. 524-530 (1988)
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[Publications] 堤元信: 日本眼科学会雑誌. 92. 297-301 (1988)