1986 Fiscal Year Annual Research Report
顎関節関節円板の機能分化と,その変性機序ならびに病態発現に関する研究
Project/Area Number |
60480432
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小野 尊睦 京大, 医学部, 教授 (80025642)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
廣岡 康博 京都大学, 医学部, 助手 (60173275)
松木 優典 京都大学, 医学部, 助手 (90165796)
村上 賢一郎 京都大学, 医学部, 講師 (00174269)
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Keywords | 顎関節 / 関節円板 / 軟骨細胞 / 細胞間基質 / ムコ多糖体 / 顎関節内障 / 関節円板転位 / 関節鏡視 |
Research Abstract |
1.関節円板におけるムコ多糖体の局在と病態悪化 モルモット顎関節関節円板におけるムコ多糖体の組織化学的検索から、これらはヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸(ABCD)より成り、しかも円板前方部で内側に局在しているのが証明された。このことは咀嚼運動において垂直的下顎運動を生体とする齧歯類では関節円板の機能的負荷面が下顎富と相対する部分でなく関節円板の前内側で関節結節と相対する部にあることが示唆され、同時に蝶番様関節運動に積極的に関わる外側翼突筋の役割が示唆された。次に同じ齧歯類のラットを用いて片側切歯と臼歯の実験的抜去による同側顎関節への影響を関節円板における軟骨細胞と細胞間基質の組織化学的変化として検索した。その経果、軟骨細胞近傍の細胞間基質にはコンドロイシン硫酸の反応陰性と弱酸性ムコ多糖体の陽性反応を認め、さらに術后2ケ月ならびに4ケ月の群の一部にコラーゲン線維走向の乱れを認め、同時に軟骨細胞の減少が認められた。また拡ウシ【II】型コラーゲン抗体により軟骨細胞に陽性反応が検出された。これらから片側咬合関係に異常を来した場合に関節円板には軟骨細胞と細胞間基質には組織変化が生じ、線維軟骨の退行変性が示唆される所見を得た。 2.関節円板前方転位による顎関節内障の病態について 関節円板後組織に分布する渭膜には渭膜突の所見を関節鏡視下に認めたが組織学的にも円形細胞浸潤を伴う陣旧性の光症性変化が観察された。一方、関節鏡視下には光症性変化を欠き線維性変性を思わせる所見が幾つかの症例で認められたが、組織学的には乏血性で退行変性を伴い、かつ頚軟骨細胞の出現を認めた。前者は骨関節症への移行期,後者は臨床的に変性した関節円板の生理的適応態度を呈するものと思われた。拡コラーゲン【IV】型拡体を用いて毛細血管の関節円板への分布をみた。
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[Publications] 小野尊睦: 耳鼻臨床. (1987)
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[Publications] 村上賢一郎 他: 関節鏡. 11. 1-6 (1986)
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[Publications] 藤田茂之 他: 日本口腔外科学雑誌. (1987)
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[Publications] 藤田茂之 他: 顎関節研究会誌. 7. (1987)
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[Publications] Murakami,K,et al: Eith Congress of European Association for Maxillo-Facial Surgery.Abstracts,159.159 (1986)
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[Publications] Murakami,K,et al: The Journal of Craniomandibular Practice.4. 117-126 (1986)