Research Abstract |
1, CPITNの有用性:歯周病を公衆衛生学的に扱う場合の指数として, わが国ではCPITNが広く使われだした. しかし, この方法では有病者率が90%以上という結果が得られ, スクリーニングテストの意味をなさない. そこで, CPITNのスクリーニングテストとしての有用性の検討を行った. 対象は大学新入生2,200名で, 一次検診をした後, 無作為に140名を抽出して第2次の精密検査を行った. その結果, 重症の歯周病患者を発見する規準をコード4とすると, 全体の1%が検出されるが, 動揺歯を有する者の10%,歯槽骨の吸収を有する者の25%しか検出できない, またコード3を規準とすると, 全体で37%の有病者率となり, 動揺歯を有する者,歯槽骨の吸収を有する者が, 各々40%検出されることが明らかになった. 以上のことより, 重症の歯周病患者のスクリーニングに, CPITNを応用することは適当ではないことが示された(口腔衛生会誌,投稿中). 2.抜歯の原因調査:歯周病が原因で抜歯される歯に関する研究は, 40年前に行われたものがあるが, 我が国の現状調査はみられない. そこで, 1年間4期にわたり, 850名の歯科医の協力を得て, 抜歯の原因調査を行った. その結果, 抜歯総本数11,000本中, 齲蝕によるものが55%,歯周病によるものが38%であった. 46才ー55才群と56才ー65才群は, 他の群よりも2倍以上多い抜歯数を示し, その主たる原因は歯周病であった. 本調査により, 歯周病は社会で中心的役割を任っている人々を悩ませる歯科疾患であり, 高齢化社会の到来により, 歯周病予防の重要性が再確認された(口腔衛生会誌,S62年). 3.地域住民に対する歯周病予防活動:歯周病の予防には, 適切なブラッシングが効果的である. すでに, 職場における活動の成果は報告した. 今年度は, 灘崎町住民120名を対象にし, 月1回, 計3回の指導を行った. 結果は現在集計中である.
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