1986 Fiscal Year Annual Research Report
原爆被爆者定期健康診査のもたらす延命効果の計量数学的モデル
Project/Area Number |
60480469
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
三根 真理子 長崎大, 医学部, 助手 (00108292)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野瀬 善明 九州大学, 医学部, 助教授 (20038920)
近藤 久義 長崎大学, 医学部, 助手 (00170431)
森 弘行 長崎大学, 医学部, 助手 (30128227)
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Keywords | 寿命 / データベース / 受診率 / 統計モデル / 生存率解析 |
Research Abstract |
昭和60年度において、被爆者の健診受診状況を知る上での情報の収集及び健診受診者と未受診者の動機を知る為のアンケート調査を実施した。アンケート調査の解析の結果、健診未受診者は受診者に比べて、自分は健康であると思っている者の割合が高いことなどが分ったが、2群間の差はわづかであり、統計的判別分析を行なっても識別は困難であった。一方、受診者の寿命は未受診者のそれよりも有意に長いという事実は、2群間に何らかの大きな違いのあることを示唆している。このため、明白な知見を得るまではアンケート結果の分析をさらに詳細に行なう必要がある。本年度はそれらと被爆者診療記録データベースを用いて統計的解析を行なった。本研究では個人の受診習慣を年当り平均受診回数により表すこととし、個人毎に年当り平均受診回数(受診率)を求めた。次に受診率と死亡時年齢との統計的関係を分析し、計量モデルを構成するための解析を行なった。受診習慣は短期間に変わるものではないが、死亡日が近付くと受診率の減少する傾向のあることが分った。しかしながら受診率の減少を性・年齢・死因別に解析したところ、全年齢において癌では死亡の1年以内、また70才未満では他の死因についても死亡の2年以内になってから減少しはじめるという結果を得た。この知見に基づき、死亡時点を目的変数とし、受診率(死亡の2年以上前での年当り平均受診回数)と年齢を共変量とする統計モデルをいくつか設定し適合度をみた。その結果、時間非依存比例ハザードモデルに良く適合することが分った。問題点として70才以上になると医療費が無料になることのためと思われるが、健康な者でも漸次受診しなくなる傾向のあること、また減少傾向は死因によってかなりの違いのみられることがある。70才以上の癌以外の死因については目的変量と共変量が相互に依存する複雑なモデルを構成する必要も考えられ、更に研究を行なう必要がある。
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Research Products
(1 results)