1986 Fiscal Year Annual Research Report
カルシウム結合タンパク中のカルシウム結合部位のX線溶液散乱法による研究
Project/Area Number |
60480488
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
植木 龍夫 阪大, 基礎工学部, 助教授 (30029954)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
猪子 洋二 大阪大学, 基礎工学部, 教務職員 (00160010)
|
Keywords | X線溶液散乱法 / トロポニンC / カルシウム結合タンパク / ドメイン構造の散乱 / 亜鈴型構造モデル |
Research Abstract |
トロポニンCは筋タンパクの一つで、【Ca^(++)】イオン結合という機能をとおして筋収縮の初期過程での重要な役割を担っている。 本研究は、水溶液のX線散乱法を用いて、【Ca^(++)】イオン結合時にトロポニンC分子の構造がどのように変化するかを明らかにすることを目的としている。 1.トロポニンCの"小角"領域の溶液散乱プロファイルは、2つのドメインからなる亜鈴型構造モデルで解釈できる。 プロファイルの解析より、トロポニンC分子の回転半径は25A゜、2つのドメインの平均の回転半径は16A゜、ドメイン間距離は大体38A゜であることが明らかとなった。 2.トロポニンC分子は、4個の【Ca^(++)】イオンが結合すると二量体形成の傾向をかなり顕著に示す。 二量体形成は、タンパク濃度を2mg/mlまで薄くすると、抑制される。 この効果は、より少ない結合【Ca^(++)】イオン分子ででも観測され、溶液散乱プロファイルを単分子を基礎に解析することが可能となった。 3.トロポニンCからの"中角"領域の散乱プロファイルは、【Ca^(++)】イオン添加に伴って著しく変化する。 この変化は、トロポニンC分子自体の構造変化による項と、【Ca^(++)】イオン-トロポニンC分子の干渉による部分の重なった現象である。 この2項の分離を目的として、【Ca^(++)】イオンの代りに、【Tb^(+++)】イオンを結合させたトロポニンC溶液からの中角散乱実験が進められている。 4.【Ca^(++)】イオン結合に伴う分子中の2つのドメインの動きは、分子のある位置を参照することができれば、その位置を原点として解析できよう。 トロポニンCの98番のシステイン側鎖を水銀化合物でラベルし、この水銀原子を原点とした解析が考えられる。 この方向の散乱実験も精力的に進められている。
|
Research Products
(1 results)