1986 Fiscal Year Annual Research Report
香辛料の細菌増殖ならびに消化酵素作用におよぼす影響
Project/Area Number |
60480489
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
宮本 悌次郎 阪市大, 生活科学部, 教授 (00046848)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高谷 友久 大阪市立大学, 生活科学部, 講師 (90047283)
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Keywords | 香辛料 / 精油 / 細菌 / 消化酵素 / 阻害 / 保存 / 高速液体クロマトグラフィー |
Research Abstract |
昨年度に引続き、ワサビ,カラシ中の主要精油成分Allylisothiocyanate(以下AIT)と、シナモンの主要精油成分Cinnamic aldehyde(以下CA)の定量をHPLCで行なった。カラムオーブンを用い、45℃で操作することにより分離はさらに良好となった。また粉ワサビ抽出液とAITでは保持時間2.71〜2.88分、シナモン抽出液とCAでは2.69〜2.85分で、それぞれの紫外部吸収スペクトルが一致することを確認した。これらの数種試料について定量した結果は粉ワサビのAIT含量5-6.5mg/g,カラシ粉では8〜10mg/g,シナモンのCA含量35〜40mg/gであった。数種細菌に対するこれらの抗菌性を振盪培養法で調べた結果、いずれもその添加量に応じて誘導期を延長した。抽出液と、それに含まれるのと同量の精油成分の抗菌力を比較すると、一般に抽出液の方が強く、添加量を増すとその差も大きくなった。更にシナモンでは定常期における菌量の低下もみられた。次にワサビと乳酸あるいは酢酸の細菌増殖阻害に対する併用効果を検討したが、酸の0.05%程度の添加で併用効果があり、乳酸より酢酸の方がその効果が大きかった。一方黒コショウ,ローリエ,クローブ,タイムの粉末各0.05%を鶏ガラスープに加え、室温における保存試験をしたが効果が無ったので、耐熱性細菌汚染のある黒コショウをオートクレーブ処理してからこれら4種の香辛料を加え、同様に保存試験をすると、香辛料を入れない対照が2日後に細菌増殖をみたのに反し、3日間細菌増殖を阻止した。消化酵素に対する阻害作用では、昨年度見出したトウガラシ中に含まれるトリプシン阻害物質は、種子中に大部分含まれることがわかった。この阻害物質は蛋白性で0.1M食塩水によく溶解し、pH3〜10で安定で、熱に対しても安定であった。CM-セルロースイオン交換クロマトおよびゲル濾過により数種の成分の存在を確認した。α-キモトリプシンをも阻害するが、トリプシンに対してよりも弱い活性を示した。
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