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1986 Fiscal Year Annual Research Report

システィーナ天井画の構造及び主題の美学的解釈

Research Project

Project/Area Number 60510029
Research InstitutionYamaguchi University

Principal Investigator

奥津 聖  山口大, 人文学部, 助教授 (50127750)

Keywordsシスティナ礼拝堂 / 幻想天井画 / イコニーク / ミケランジェロ / アウグスティヌス / ヴィジョン / 最後の審判 / ヨナ
Research Abstract

十二人の巫覡像の中でヨナの表現上の特異性は際立っている。姿形が他に抜きん出て大きいというだけではない。彼の背景に旧約聖書のヨナ記のエピソードを想起させる大きな魚や瓢箪の木のようなアトリビュートが描きこまれているのは何故なのか。絵画的要素を内包する唯一の巫覡像としてヨナは天井中央の創世記の物語り絵と他の建築的・彫塑的要素の両者を媒介する特異な位置を占めている。二つの異なる現実性の程度の位階の媒介者であることのイコニークな視覚化がヨナの天空へと向けられた眼差しである。歴史画は運ばれた絵(quadro riportato)ではなく、幻視者(Visionar)ヨナの視線に捉えられた幻視内容(Vision)として時空を異にする非存在の現実である。従来この天井画の嫡子と指摘されてきたバロック初期を代表するローマのファルネーゼ宮殿のギャラリーを飾るアンニバーレ・カルラッチによる天井画とはこの点でその構成の基本的理念を全く異にしている。カルラッチの虚構の絵画は額縁によって他と境界づけられることによって明確に自己を一個のタブローとして主張している。アリストテレース的とアルガンが述べたバロックの本質、即ち修辞学的な観客(聴衆)に対する意識化されたフィクシャスな本物らしさの追求はここには無い。ヨナと歴史画は一枚のタブローである。このような幻視者と幻視内容の同一画面内の共存の系譜はマニエリスムを経てむしろ南独バロッケットを代表するアザム兄によるアルデスバッハの教会の大天井フレスコ画『クリスマスの幻視』(1720)にまで辿ることができる。今年度発表予定の続編『預言者ヨナの幻視-ミケランジェロのシスティナ礼拝堂天井画の構造について-2』は天井画のイコノロジーにおいてアウグスティヌスの聖書理解に基づく天井画解釈という点で同一の方位を取るドットソンの既に指摘済みの部分が若干発見されたため体裁を一新するべく現在改稿中である。

  • Research Products

    (1 results)

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  • [Publications] 奥津聖: 山口大学文學會志. 38. (1987)

URL: 

Published: 1988-11-09   Modified: 2016-04-21  

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