1986 Fiscal Year Annual Research Report
1〜4MeVα粒子に対する各種気体のW値のエネルギー依存性
Project/Area Number |
60540244
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
石割 隆太郎 近大, 教養部, 教授 (30031610)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂本 直樹 奈良女子大学, 理学部, 助教授 (20031718)
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Keywords | W値 / α線 / エネルギー依存性 / 高純度アルゴン / 窒素ガス |
Research Abstract |
グリッド付電離箱及び眞空ポンプ系は石割が奈良女子大学に在職中に設計,製作したものを使用した。【Po^(210)】の5.30481MeVのα線源からのα線をマイラー及びAlの吸収膜でエネルギーをほぼ1,2,3,4MeVに落としたものを、眞空中でサーフェス・バリヤー型のSi検出器(ssd)で測定して、そのパルス波高から正確なエネルギー値を決定した。この作業は昨年も行ったが得られたエネルギーが1,2,3,4MeVからかなりずれていたので、マイラー膜の厚さを調節して本年度再度測定を行いほぼ満足すべきエネルギーを得ることができた。本年度は純【N_2】気体について先ず予備的測定を行った結果、純【N_2】のα粒子に対するW値はエネルギーが4MeVより1MeVに下がると〜5%増加することを確めた。この結果は空気のW値についての石割の経験式(J.Phys.Soc.Japan11(1956)337)とほぼ一致する。更に検討した結果純アルゴンの測定の場合には、更に時定数の大きい増巾器が必要であって、主増巾器は昨年度特注したが、現在使用しているプリアンプの時定数はまだ小さすぎるので、大阪電波(株)に特注して時定数4msecのプリアンプ及び同様に立上りのおそいパルサを製作し年度末に完成した。本年度10月以降はα線源を全く置かないのにα線によるパルスとよく似たパルスが発生するというトラブルが起こり、種々原因をつきとめるための試みを行ったが原因がつかめず約4ケ月間悪戦苦闘した。たまたま【N_2】ガスがなくなったので新しい【N_2】ボンベと取り変えたところ、トラブルは原因不明のまゝ解消した。引つづき新しいアンプを使用し純【N_2】ガスの本測定及び純アルゴンガスの本測定を行う予定である。以上の経過で残念ながら未だ結果を学会で発表するに到っていないが、この種の実験は準備に時間をとり本測定は一気に行い得るので、来年度には成果をあげ得る見通しを得ることができた。
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