1986 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
60540425
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
宮城 康一 琉大, 理学部, 講師 (20045032)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
島袋 敬一 琉球大学, 理学部, 教授 (50044988)
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Keywords | マングローブ / 亜熱帯 / 植生 / 群落構造 / 落葉構造 / 落葉枝量 / 生長 |
Research Abstract |
亜熱帯地域のマングローブ林の構造とその成立・維持機構を解明する目的で調査を開始した。西表島後良川において、1983年から1986年までメヒルギ,ヤエヤマヒルギ,オヒルギ,マヤブシキの各優占林において永久コドラートを設置し、植生調査と同時に出現個体をすべてマーキングし、群落構造の解析と、樹幹の生長、落葉枝量の測定を行った。 また、オープンな干潟及び林内においてヒルギ類3種の散布体の植栽実験を行っている。 1.林冠が密な林分(ヤエヤマヒルギ林)では実生個体が著しく少なく、実生による更新がほとんど行われていない。しかし、オヒルギは各生育段階の個体が出現している。 2.幹直径の分布は樹高の低い林分で1山型となり、樹高の高い林分で2山型になる傾向が見られた。2山型はオヒルギの初期生長における死亡率の周期的変動かあるいはある程度生長した個体に枯死要因が選択的に働くことが考えられる。 3.台風の被害及びその後の追跡を行った。樹高の高い林分は低い林分に比べ台風による樹木の損傷の割合が大きいが、どのスタンドも倒木は殆ど見られない。台風後枯死した個体は林冠直下の亜高木が多い。台風時の高潮は水没するマヤプシキのシュートを保護する役割を果している。また、台風後の枯死個体は立枯れのまま残るため、大きなギャップは形成されない。ギャップにおける実生による更新は見られないことなどが明らかとなった。また、台風時の落葉枝量は190から3653g.dw./【m^2】が記録され、熱帯地域と比較しても極めて高い落葉枝量があり、マングローブに及ぼす台風の影響が極めて大きいことが示唆される。 4.散布体の植栽実験では林内に植栽した胎生種子は殆ど枯死し、また、オープンな干潟においてもマヤプシキの呼吸根域に植栽したものは生長が悪く、マングローブの生育場所は実生個体群に必ずしも有利に働いていないことがわかった。
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