1986 Fiscal Year Annual Research Report
高プロラクチン血症により発生するいくつかの疾患における共通要因の解析
Project/Area Number |
60540478
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
守 隆夫 東大, 理学部, 助手 (80011659)
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Keywords | マウス / 高プロラクチン血症 / 乳癌 / 子宮腺筋症 / 膵腫瘍 |
Research Abstract |
マウスにおいて下垂体の異所性移植により高プロラクチン血症を引起してやると、乳癌,子宮腺筋症,膵臓の過形成が発生することが判明した。そこで高プロラクチンにより発生する疾患の共通する発生機序を明らかにすることを目的とした。 1.乳癌についてはプロラクチンの免疫組織化学ABC法により正常乳腺が過形成結節を経て、癌組織に発達する過程を染色した。プロラクチンに対する感受性は乳癌細胞となると失われることから、発癌過程ではプロラクチン感受性を有したまま悪性化することが判明した。結果は論文として発表した。今後はこのプロラクチン感受性の意義を追究する予定である。 2.前年度に行った高プロラクチン血症により引起される子宮腺筋症の発生過程を電子顕微鏡で詳しく調べた結果をまとめ、これまで判明した事実と合せて総説をまとめた。現在は子宮におけるプロラクチンの作用部位を明らかにするため、ABC法による免疫組織化学によりプロラクチンの存在部位を検出中である。特にプロラクチンと子宮筋肉層との相互関係については、プロラクチン受容体等について生化学的にも追究する予定である。 3.高プロラクチン血症マウスを長期間飼育したところ、膵臓の過形成および腫瘍化の起ることを発見し、この事実を論文として発表した。この変化は膵臓の内分腺であるランゲルハンス島と、外分泌腺である腺房の両方に起ることから、従来から推測されていたプロラクチンのランゲルハンス島への作用だけでは説明できないと思われる。現在はABC法による免疫組織化学により、プロラクチンの作用部位を決定する実験を進めている。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 守隆夫: 実験医学. 4巻5号. 445-446 (1986)
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[Publications] T.Mori: Kyoto Prolactin Conference. vol.1. 145-153 (1986)
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[Publications] T.Mori: J.Nat.Cancer Inst. vol.76. 1193-1198 (1986)
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[Publications] T.Mori: Acta Histochem.Cytochem.vol.19. 421-428 (1986)
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[Publications] H.Nagasawa: Lab.Animal.Science.